イタリアは1861年に統一されるまではそれぞれ違う国だったこともあり、州や町による違いがとても大きいです。その1つが方言。フィレンツェは標準的なイタリア語に近い、と言われており、実際他の州の方言からすると分かりやすいですが、それでも方言はあります。実際、私も留学中、標準的なイタリア語をフィレンツェの語学学校で学んだ訳ですが、学校の先生の話し方と、学校の外で接触するフィレンツェ人、ダンナ(当時彼氏)、ダンナ家族の話し方の違いに???となっていました。同じトスカーナなのに南部のばーちゃんの村に行こうものなら、半分近く何言ってるか分からない?それは話すスピードの速さにもよるでしょうが、とにかくトスカーナ方言に慣れるまで、今では笑えるエピソード、少しづつ紹介していきますね。
その1つが、この「COSO(読み方:コーゾ)」と「COSARE(読み方:コザーレ)」。COSOは名詞で、とっさに名前が出てこなかったり知らない名前を指す時に使う「あれ」に使います。COSAREは語尾からも分かるように、COSOの動詞形で、動詞がで出てこない時に代用する動詞。COSOの代わりにQUELLO(あれ)、COSAREの代わりにFARE(する)を一般的には使うと思うのですが、トスカーナでは圧倒的にこのCOSOとCOSAREを使います。
私がこの単語を覚えたのは、まだダンナと付き合いだして間もない頃、サン・ミニアート・アル・モンテ教会に行こうと、近くに車を停めた時。車から降りようとしたダンナが、「Dov’e’ il mio coso!!??(俺のあれ、どこや!?)」とバタバタしながら叫んだのです・・・そんなこと聞かれても、COSOの意味が分からなかった私、COSOって何よ!?と聞き直したら「財布」。どうやら運転中にサイドポケットから滑り落ちて、シートの脇に転がってたのを見つけたのですが、それから私はスッキリせず・・・財布ってCOSOとも言うんや!?と。後で聞いたらこういう使い方をするんだよ、と教えてもらったのですが、いやぁ、あの時の???は忘れられません。
「Dov’e’ il mio coso!!??」なら名詞だけですが、もっとひどいのは「Hai cosato il coso?(あれやった?)」。お互いの会話の中で分かる場合は、「Si si, l’ho cosato(うんうん、あれやったよ)」と会話が成立するのですが、何をどうしたのかも分からなければ、答えようがない質問(笑)。と言いつつ、とっさに言葉が出てこなければ、ほら、あれ、コーゾ・・・とCOSOとCOSAREを多用している関西のおばちゃん(私)です。