フィレンツェからバス一本で行けるキアンティの中心的な町、グレーヴェ・イン・キアンティ。その丘の上にあるモンテフィオラッレは「イタリアの美しい村」に加盟している珠玉の村であるだけでなく、小さなワイン生産者がたくさん存在します。長年お付き合いのあるワイナリーに加え、今回はもう1つの新しい素敵なワイナリーの紹介です!
場所はモンテフィオラッレの村からブドウ畑の散策路を歩いて約10分。石造りの昔ながらの建物に到着します。もう1つのワイナリーから比べると少し遠景になるものの、こちらからも美しいモンテフィオラッレの村が別アングルから見られます。オーナーのロレートは長身のイケメン!ですが、話し方がちょっとトスカ―ナっぽくない・・・そう、彼はなんとシチリア人!しかも6年前までは溶接工の仕事をしていてワインはゼロから学んだと言います。好きな犬が同じで友達となった、今の奥さんの実家がここで、この場所に惚れ込んで移住、そして農業をしていた義父から全てを学び、自分たちのラベルでワインを作ることを決めたのは2016年のこと。テイスティングを始めたのはつい最近、2022年からです。
4本あるラインナップで、一番最初にテイスティングするのがこの白。かつてはキアンティ・クラッシコに数パーセントの白ブドウを使用することが決められていたため、昔からここには白ブドウ畑があり、規定が変わって赤ブドウ100%になってからも家族用に白ワインを生産していたそう。それに自分たちのラベルを付ける夢を追っていた最中に、義父は他界・・・そんな彼との約束をア果たすために付けた名前が L’Obbligatorio(責務)で、ラベルのイラストは義父がトラクターに乗った写真をデザインしたもの。全てを教えてくれた義父への愛があふれる1本は、トレッビアーノとマルヴァジアをブレンドした食事に合わせやすいワインです。そうそう、こちらではワインのみのテイスティングの他にブルスケッタ(自家製オイル、トマト)付、そして+サラミ・チーズ付きの3種類があるのですが、最後のものはけっこうな量が出てくるので立派なランチになります!
そして白のあとは、キアンティでは珍しいロゼをテイスティング。サンジョヴェーゼ100%のロゼを作ろうと発案した本人、そう、ロレートの愛称が名前になっています。
その後は年代違いで2022年、2021年のキアンティ・クラッシコを。22年はスティールタンクのみで熟成、一方21年は樽でも熟成させているので、味わいがかなり違います。熟成方法だけでなくその年のブドウの出来、また飲む時期(瓶熟成)によっても変わってくるので、そういう違いや変化を生産者から聞いて楽しみながら、その地で飲めるのがやはりテイスティングの醍醐味ですね。
素朴で飾らないロレートは質問すると何でも答えてくれてます。血はシチリア(とドイツ人のハーフ!)といえど、義家族やこの地にすっかりと溶け込み、人生を変えたこのワイン造りにいかに情熱を持っているかがヒシヒシと・・・。それだけではなく、予約なしの飛び込みは可能であれば全て受け入れてくれるうえ、他のワイナリーでは最低2人が多いなか1人でも同料金で見学もテイスティグも可能!は嬉しい限り。
ロレートの他、昔から父と共に農業をしてきた義姉のルチア、手を貸してくれる親戚のピエロとともに1つづつ夢を叶えていますが、次の夢はリセルヴァ(ブドウの木のセレクション+熟成の長いカテゴリー)です。
現在はたった5つの樽ですが、セメントとスティールタンクのある別室奥の空間を2フロアにし、大きなセラーを作ろうとしています。そしてリセルヴァが終わればヴィンサント、そしてグラン・セレクションなど、やりたいことはたくさん。生産銘柄を作ることだけでなく、料理教室とアパートを経営するジャンルーカを呼んで料理とワインの夕べなど、ロレートのアイディアは止まりません・・・もともと私にロレートを紹介してくれたのはジャンルーカ。この2人はもちろん、もう1つのワイナリーのロレンツォとも不作ときに原料を分け合ったり、意見交換したり、一緒にご飯食べたりもする仲良しだそう。こういう人のつながりに私もあやかれて、感謝の気持ちでいっぱいです。
フィレンツェからハイヤーで行くことももちろん可能ですが、ワイナリーのみの方はオリーブ畑とブドウ畑に囲まれた道でパノラマを見ながらのプチ・トレッキング。私はもう4回、お客様も2組ご案内していますが、歩くのが苦にならない方であれば全く問題ありません。ジャンルーカの料理教室に参加またはアパートに宿泊される方はグレーヴェからの車送迎もありますので、フィレンツェから日帰りでワイナリーまたは料理教室と組み合わせて、もしくは1泊2日でゆったりとこの地を楽しむのも良いですね。ちなみにロレートのワイナリーは19時以降の夜のテイスティングもあるので、昼間は料理教室、夜に前菜付きテイスティングを夕飯にするのも良いかも・・・あとはアパートに帰って寝るだけ!(笑)1泊2日の場合だと行きか帰りの道中にパスタ工房見学をプラスして、キアンティの食を深めるアクティビティ満載になりますよ。
ロレートのワイナリーでは、9~11月にブドウの収穫、オリーブの収穫体験も可能。収穫後の作業や、オリーブを搾油所に一緒に持って行ったりも・・・こういった特別体験をされたい方は、別途、お問い合わせくださいね。
ギャラリー(クリックすると拡大します)
基本情報
ワイナリーでのテイスティングは、その時の状況によりますが1人からでも予約なしでも可能。ブドウ畑やセラーのガイド付き見学は予約のみになります。ガイド付き見学あり・なしとも、4種のワインテイスティングで、タラッリのみ、ブルスケッタのみ、ブルスケッタ&ハム・チーズの盛り合わせ付きから選べます。見学なしであれば19時以降~の夜のテイスティングも可能。いずれも1人あたり25~45ユーロ。
※2024年11月末~2025年2月末(予定)までテイスティングはなし(ワイン完売予定)
【フィレンツェ発着・通訳付きワイナリー訪問&小さな村散策】
・フィレンツェ集合9時、フィレンツェ到着17時すぎ(現地滞在は10時~16時)
・フィレンツェよりグレーヴェ・イン・キアンティよりバス使用
・グレーヴェ・イン・キアンティ⇆モンテフィオラッレまではトレッキング
(行きは約30分、帰りは約20分)
・ワイナリー見学+前菜盛り合わせのランチ&テイスティング
・モンテフィオラッレとグレーヴェ・イン・キアンティ散策
◎1人参加:270ユーロ、2人参加:160ユーロ、3人参加:130ユーロ(いずれも1人料金)
※ジャンルーカの料理教室、パスタ工房見学いずれかとの組み合わせで日帰りも可能
※ジャンルーカのアパートに宿泊で料理教室とパスタ工房見学も合わせて1泊2日ツアーにも
愛すべき、美しい30の村
飾らない、ありのままのイタリアへ!人口や景観など、「イタリアの最も美しい村」協会が設けた厳しい基準を満たした村だけが加盟を認められる「イタリアの最も美しい村」。その中から、イタリア在住20年以上、トスカーナ州の田舎町に暮らす著者が、“忘れられない”30の村をセレクト。古きよきものが息づく小さな村の魅力を、旅先での出会いやエピソードをちりばめながら綴る。
本の詳細はこちら
「フィレンツェから日帰りで行ける!トスカーナの小さな村10選」
「トスカーナのおうちごはん春夏編20レシピ」
「コロナ・ロックダウン緩和直後のイタリア・フィレンツェ記録写真集(モノクロ版)」
「コロナ・ロックダウン緩和直後のイタリア・フィレンツェ記録写真集(カラー版)」
「トスカーナのおうちごはん秋冬編20レシピ」
いずれも読み放題に入っています!