ファッロは、イタリアではとてもポピュラーな食べ物です。日本語では、一般的に「スペルト小麦」と訳されてます。もちろん、私が持ってる辞書にも「スペルト小麦」とだけ載っています。しかし実は、ファッロ=スペルト小麦、とは一概に言えない事を先日知りました。
まず、ファッロとは?古代から食されていた穀物で、古代ローマでは兵士に供給されていたほどエネルギー値が高い。マグネシウムなどミネラルが豊富でストレス緩和、血糖値を安定させるなど、現代人にはもってこいの食物なのです。イタリアでは粒を茹でてサラダやミネストローネに使うことが多いですが、粉でも販売されているのでパスタやパンに。古代小麦、土着品種が再評価されているので、実際、ファッロのパスタも最近よく見るようになりました。
さてファッロと一言に言っても、いろんな種類があります。大きく分けて、粒の大きさによって3つに分けられます。
- 小粒ファッロ または モノコッコファッロ (学術名:Triticum monococcum);
- 中粒ファッロ または ディコッコファッロ(学術名:Triticum dicoccum);
- 大粒ファッロ または スペルトファッロ、単純にスペルト (学術名:Triticum spelta).
小粒ファッロは食べられる部分が少なく加工にコストがかかるため、現在ではほとんど生産されていません。残るはこの2つですが、ご覧いただくとわかるように、ファッロ=スペルト小麦と訳されているのは大粒ファッロのことなのでした。しかし、この大粒ファッロは、中粒ファッロとAegilops squarrosaという別の品種の交配種で、イタリアの気候にはあまりそぐわず、500ヘクタール規模の農地で栽培されることから、主に北東ヨーロッパで生産が多いそう。別名「ドイツ小麦」と呼ばれているのは、その理由からかもしれませんね。そしてもう1つがこの中粒小麦。日本ではエンマー小麦と訳されており、日本でもイタリアでも希少で高価なものになります。なので、実際にスーパーに売っているメーカー物のファッロは、ほとんどがスペルト小麦。
でもこのディコッコって聞いたことあるな?と思ったら・・・おらが村のGAS(優良生産者から直接購入する消費者グループ)で購入しているオーガニックパスタメーカーのファッロのパスタ、こちらが中粒ファッロ=エンマー小麦を使用したパスタでした。ここはすべてオーガニックですが、普通の小麦粉のパスタが500g・1.02ユーロに対してエンマー小麦粉のパスタは2ユーロ、ほぼ倍の値段がします!私はいつも徳用パック5キロを買うのですが、エンマー小麦のは3キロパックで10.49ユーロ。種類も少ないので、いつもこのカザレッチョを購入しています。
日本でエンマー小麦の粉を購入したい方は、こちらでも販売しています。
イタリアでのエンマー小麦の有名な産地は・・・なんと!トスカーナのガルファニャーナ地方で、IGPも取得しています。リンクで記事を見ていただけると分かりますが、「もう1つのトスカーナ」と呼びたくなるような、山に囲まれた独特の雰囲気を持っています。訪れた際にはぜひ、IGPのエンマー小麦の料理を食べてみてくださいね。イタリアのスーパーでは一般的にはなかなか見ることができないですが、ファッロと書かれたものでも、買う前にどの種類か?確認してみようと私も思います。
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