今回マルケでバカンスするにあたって、数多くの素敵な村にどれだけ行けるかな・・・と秘策を練っていたんですが・・・というのも、息子2人はもちろん、近年はダンナでさえも海やアウトドア以外何もやりたくない!のです。このグラダーラは行きたい村ではあったのですが、なんと、自宅から滞在先に向かう時にちょうどランチの時間にぶち当たること、そしてランチをしようと言っていた近郊に住む友人から「うちの町でなくてグラダーラに行かない?」と誘ってくれたことから、ボタ餅式に行けるようになったのです!イエーイ!!
グラダーラもイタリアの多くの村と同じく、城壁を残した村です。主要な門は旧市街の南側にありますが、私たちは北東にあるレストランでランチをしたので、そこからカップッチーニ通りに入って旧市街に入りました。こんなに小さい旧市街になのにたくさんレストランがあってびっくり。というのも、アドリア海沿いのビーチから至近であること、また2018年は「イタリアで最も美しい村」でもNO.1 の村に選ばれたこと、そして「パオロとフランチェスカの愛の村」として知られていることもあるのでしょう。このパオロとフランチェスカはダンテの神曲・地獄篇5歌でも語られた、実在した人物で本当に起こった事件だったのです。
事件の始まりは1275年。フランチェスカはラヴェンナ・チェルビアの貴族家系に生まれますが、のちに父が政治的に助けられたマラテスタ家のジョヴァンニと政略結婚をさせられることに。このジョヴァンニは容姿がよくなかったため、フランチェスカから結婚を断られることを避けるため、婚姻に都合がよい各勢力である策略が組まれます。兄とは違って容姿がよいパオロを指して、ある貴族の子女に「あれが貴方のお婿さんですよ」とフランチェスカに告げさせたのです。彼との結婚を待ちわびていたフランチェスカが、婚姻当日にジョヴァンニを見て、どれだけ落胆したことか・・・しかし、グラダーラに所有地を持っていたパオロとフランチェスカは恋に落ちます。そして1289年9月、密会をしてキスをした瞬間、密告によって駆け付けたジョヴァンニの剣で、2人とも命を落とすのでした・・・。そんな悲劇なのですが、これによりグラダーラは愛の村、キスの村として知られるようになり、IL BACIO(=キス)というレストランがあったり、
私にキスして!というハッシュタグのプロモーションをやっていたりします。
さて、こんな風に悲劇もあったグラダーラですが、建設されたのは12世紀。その後、教皇に保護を受けたマラテスタ家により統治され、城壁と塔が建設されました。1494年にはスフォルツァ家、そしてチェーザレ・ボルジアの短い統治の後、デッラ・ローヴェレ家、最後には教皇領の管理となりますが、近隣の貴族に統治を委託されていました。
そしてこの城塞は、現在では全長800mのうち、約3分の1が歩けるようになっています。要塞・城塞好きの私としては、これに行かないことはあり得ない!笑。
村自体も標高142m、城壁もそれほど高くはないですが、マルケの自然と町並みを堪能することができますよ( 毎日営業・8:30~ 19:00、大人2ユーロ、17歳までは1ユーロ、10歳以下無料)。
私たちは時間の問題でお城そのものには入らなかったのですが、かつての統治者の住まいや政治の場を見学することができるそうです(詳細情報はこちら)
お城の手前にあるのは、サン・ジョヴァンニ・バッティスタ教会。ファサードは建設当時の13世紀のものですが、内部は地震により17世紀に修復されたものです。主祭壇の十字架は15世紀のもの。
他にも見どころはありますが、私は行けなかったところもあるので、下記のグラダーラ観光協会のサイトをご覧ください。日本語はありませんが、とてもよくできたサイトです!
あちらこちらに花もたくさん咲いていて、清掃も行き届き、とても美しい村です。リミニや、ウルビーノに行くバスは発着するペーザロからも近いので、ぜひ訪れてみてくださいね。
ちなみに友人に連れて行ってもらったレストランはこちら。その名もRocca d’A…mare、愛すべき要塞、海(シーフードの)の要塞、をかけています。
前菜大好きな私は、この前菜ミックスをダンナとシェア+生好きなこともあってタルタルを。城壁すぐ外、駐車場から城壁に沿ってある階段を上った先にあります。
2021年マルケ州バカンスで訪れた、もう2つの「イタリアの美しい村」はこちら
ギャラリー(クリックすると拡大します)
基本情報
【行き方】
最寄り駅の Cattolica S. Giovanni Gabicce駅前バス徒歩5分のバス停から130番で約16分。帰りは131番で Cattolica S. Giovanni Gabicce駅前に着きます。バスの時刻表はこちら、 Cattolica S. Giovanni Gabicce駅はボローニャから直通電車で1時間~1時間45分です。リミニやペーザロ(ここからウルビーノのバス発着)からも近いので、併せてどうぞ。
電車の乗り方などについてはこちら、
バスの乗り方などについてはこちらを参照ください。
👇 マルケ州の美しい村は、下記の書籍にも2村紹介しています
愛すべき、美しい30の村
飾らない、ありのままのイタリアへ!人口や景観など、「イタリアの最も美しい村」協会が設けた厳しい基準を満たした村だけが加盟を認められる「イタリアの最も美しい村」。その中から、イタリア在住20年以上、トスカーナ州の田舎町に暮らす著者が、“忘れられない”30の村をセレクト。古きよきものが息づく小さな村の魅力を、旅先での出会いやエピソードをちりばめながら綴る。
本の詳細はこちら
「フィレンツェから日帰りで行ける!トスカーナの小さな村10選」
「トスカーナのおうちごはん春夏編20レシピ」
「コロナ・ロックダウン緩和直後のイタリア・フィレンツェ記録写真集(モノクロ版)」
「コロナ・ロックダウン緩和直後のイタリア・フィレンツェ記録写真集(カラー版)」
「トスカーナのおうちごはん秋冬編20レシピ」
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