食の豊かさって何だろう?って、近年、よく考えます。私はイタリアに移住して18年、そしておらが村に引越して14年。そして7~8年前、田舎生活にもどっぷり慣れて来て、更に仕事がきっかけで食の安全性について考えるようなり、食生活全体に関しても考えることが多くなり、食生活も変わっていきました(まだまだ緩やかに、楽しみながら変化中)。そんな話は、以前にも書いています~「自然の中で暮らすこと、生き方を選択すること」、「私が小麦粉にこだわる、その理由」。
私のお客様、特におらが村で休暇の家に滞在し、ダニエーラの料理教室に行かれたお客様は、皆さん「良質の材料」「料理のシンプルさ」に驚かれ、そして「今まで食べたレストランのどこよりも、一番美味しい」と言って頂くことも。もちろん美味しいレストランもたくさんあるし、シェフの方も熱意をもって作ってると思いますが、ここで食べるものには、ほとんどが自家製なので作り手(ご主人のフランチェスコ)の魂と、料理する人の手(ダニエーラ)の魂が宿っている気がします。いつもアペリティーボで出てくる自家製のヤギのチーズも、ヤギを飼育し、乳しぼりをし、そして作ったチーズだから、フランチェスコやイオランダばーちゃんのヤギへの愛情やリスペクトがチーズにもこもっているから、だから、余計に美味しい・・・そして、更に、自然に抱かれたた代々の家、フランチェスコが自分で改築した家で、そして家族が一緒になってテーブルを囲む、今の日本では難しいことが体感できるからではないでしょうか。
今の日本では、いろいろと難しいことかもしれません。イタリアの田舎にどっぷりとつかった私も、日本に行けば「ひゃあ~どんな国の料理でもある!」とか「ドレッシングの種類がいっぱいある!」とか、楽しんでいますが、こちらに戻ってくると、やはり「本当に豊かな食生活って、利便性とか安さとか流行の食べ物じゃないな」って思うのです。