今でこそ、長さ、重さ、面積の単位はほぼ世界共通かと思います。しかし、イタリアは国家統一が1860年、その前まではいろんな「国」が混在していたので、それぞれの「国」またはさらにその中のエリアにて単位がバラバラだったそうなのです・・・偶然にもそれを知ったのは、ピストイアの市役所を訪れた時。入口にあるコレを眺めて、しばし、うーん、と考え込んだのです。
DOPPIO BRACCIO
ANTICA MISURA TOSCANA
直訳すると、「腕の倍、古のトスカーナのサイズ」。このBRACCIOは長さの単位で、0.5836m。なので、倍は1.1673m、下にある1mよりも16cmほど長くなってるわけです。ここには書いてませんが、BRACCIOよりも下の単位はSOLDI(20SOLDIで1BRACCIO)、SOLDIの下の単位はDENARI(12DENARIで1SOLDI)、DENAROの下の単位はPUNTO(12PUNTIで1DENARO)。ここではDOPPIO BRACCIOと書かれていますが、BRACCIO×2はPASSETTOで、主に生地の寸法に使われていたとか。この長さの単位はフィレンツェとその周辺で同じなのですが、重さや面積になると、フィレンツェとその周辺でいろんな単位が・・・例えば重さなら、LIBBRA(339.5g)が大半の場所で使われてましたが、パラッツォーロだけは同じLIBBRAでも361.9gと若干違っていたり、ワインの容量だと大半の場所がFiasco da vino=2.2792LやQuartuccio da vino=0,2849Lを使っているのにパラッツォーロだけはSoma da vino=78.59Lだったり、オイルの容量はおらが村ゾーンのディコマノやヴィッキオだけ違っていたり・・・フィレンツェ近郊だけでもこれで、同じトスカーナ公国でもシエナやピサでも違いがあるのですから、全国統一は大変だったと思います。上記に載せた現在の単位での表示は、1877年、つまりイタリア統一してから10年以上も経ってからやっと決められたもの。そこから徐々に古の単位を使わなくなったのでしょうね。
しかし、思いがけない場所で思いがけないことを知りました(笑)