フィレンツェから北東すぐの、シエーヴェ渓谷エリア。フィレンツェから車でたった15分とは信じられないくらい、ブドウ畑やオリーブ畑の絶景が見られる穴場のエリアです。そして今回ご紹介するのは、このエリアにあるとあるお城・・・なんと、お城に宿泊ができるのです!お城はフィレンツェからは車で40分、最寄り駅からは20分くらいの森の中にあります。山道をいくつかカーブすると、見えてくるお城上部の凹凸。エレガントな門扉。しかし、トスカーナでありがちな「ラグジュアリーホテル」「リゾートホテル」とは一角をなす雰囲気・・・というのも、このお城の所有者は、なんとごくごく一般家庭。そしてこのお城を引き継ぐまでは、宿泊業も観光業も素人。しかし、家族が一丸となって考えた末、「自分たちらしいアットホームなおもてなし」、「1日1組だけ」、「お城を自分たちの家のように満喫してもらう」、というコンセプトをたてました。
いかにもイタリアンマンマ!のソーニアが、植えたハーブについて教えてくれます。ソーニアはお客さんのお世話と庭担当、私を迎えに来てくれた次女のサーラはアイディア&SNS担当の現役大学生、長女のフランチェスカは事務担当、そしてお父さんは本業のオリーブオイル生産。家族がそれぞれの役割を担い、お客様をサポートしてくれます。
このお城は元々、1200年代建設の集落の中心的な家で、1800年代にフランスの貴族によって現在の城に改築されたもの。いろんな経緯で所有者がたびたび変わり、最後の所有者の女性に跡継ぎがいなくなったため、なんとこの城の下で農家をやっていた家族の息子=ファブリッツォに白羽の矢が当たり、養子縁組、そして2011年、前所有者の女性が亡くなって正式にこの城を引き継ぐこととなったのです~その経緯と家族の困惑やらなんやらは、こちらに寄稿しましたので、そのドラマのようなストーリーもお楽しみくださいませ。
宿泊場所は、城の一角であり、前所有者の女性が2011年まで生活していたところ。入るとすぐにダイニングキッチン、そして写真のリビング、その奥に寝室とバストイレと、1LDK のアパートになっています。ダイニングキッチンの床や天井は1200年代の建設当時のもの、他の部屋も1800年代のオリジナルです。家具や調度品については、城内にある他の30ちかい部屋からピックアップし、修繕して配置しなおしたもの。宿泊施設にするために購入したものは一切なく、あくまでこの城のアイデンティティをそのままに残しています。
こちらが寝室と、バストイレルーム。ここも天井の装飾、バストイレを仕切るアーチなど、デザインが美しくてため息がでそう・・・このアパート空間、そして周りに広がる庭、夏はプールも、全て宿泊する1組のお客様が独占となります。お城内部の他の部屋は、希望を言えばガイド付きで案内してもらえますよ。
私が訪問した時は、天気もイマイチで時間的にも早すぎたのですが、ここから見える夕暮れが絵画のような美しさだとか・・・。
この宿泊業を始めたのはたった6年前。初年度はなんと宿泊客ゼロだったそうですが、「デジタルネイティブ」のサーラのSNS発信と、お城なのにアットホームなおもてなしが評判となり、今ではリピーターも多く予約もとりにくいそう。コロナ&ロックダウンのあった今年2020年も、やっと6月半ばから再開し、すでに9月前半まで予約でいっぱいという人気ぶりです。日本からの渡航はしばらく先にはなりますが、次回のトスカーナ滞在は、ぜひお城に!レンタカーの方に特におすすめですが、ハイヤー手配も受け付けてますので、滞在まるごとご相談くださいね。
ギャラリー(クリックすると拡大します)
基本情報
1泊165 ユーロ(最低価格)~
・清掃料込みなので、複数泊の場合は1泊あたりの単価は下がります
・1日1組限定なので、城貸し切り!(宿泊部分と庭)
・希望すれば、城内を説明付きで案内してもらえます
・原則的に3月後半~11月前半まで
・基本的に1泊より宿泊可能。シーズンオフ(11月~3月上旬ごろ)は最低2泊
・WIFIあり、夏はプール使用可能
最寄り駅はフィレンツェから約20分のポンタッシエーヴェ駅。この駅から車で約15分。最寄駅から、またはフィレンツェなどからのハイヤー送迎も合わせて手配できます。またこのゾーンのワイナリー訪問など、滞在中のアクティビティについてもお問い合わせください。
食事サービスはありませんので、最寄り集落などで事前に食事の買い物をしておいてください。困ったことがあれば何でも、オーナー家族に相談して下さいね。
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