アブルッツォの美しい村が舞台の映画「丘の上の本屋さん」

皆さん、昨日のラジオ「やっぱりイタリアが好き」、聞いて頂けましたか?(聞き逃した方はポッドキャストから後日聞くことができます)。1つの前の記事にも書いたように、私のパート以外では、日本で3月3日~公開のイタリア映画「丘の上の本屋さん」(配給会社公式サイト上映劇場リスト)が紹介されました。私はラジオ出演のお話を頂いて初めてこの映画の存在を知ったのですが、イタリア語の原題「Il diritto alla felicita’(幸せへの権利)」から検索し、国営放送RAIのオンデマンドチャンネル・RAIPLAYで見られることを知り、少し前にTV鑑賞しました。

一言で言うと、イタリアっぽい映画。派手さはなくじんわりと心が温まる映画でありながら、考えさせられることも多い映画です。移民の男の子エシエンに本を無償で貸し、感想を聞きながら彼に人生で大事なことのヒントを与えてゆく古書店主のリベロ。この子がこれから一体どんな人生を送っていくのかは分からないけれど、きっと、リベロの教えと共に素晴らしいものにしていくのだろうな、と想像させてくれます。

リベロとエシエンのヒューマンストーリー、本が大切なことを教えてくれる、という以上のものが映画にはあります。イタリア語の原題と邦題が違うことはよくありますが、イタリア語の原題「Il diritto alla felicita’(幸せへの権利)」に立ち返ってみると・・・イタリアに長く住む外国人、同じ移民である私の、息子たちのクラスやおらが村の多くの移民の子どもを見ている私の感想はそこにあります。

エシエンは両親が移民でイタリアにいるのか、エシエンはイタリアで生まれたのか。映画ではいつも1人だけれど友達はいるのだろうか。彼の背景は描かれていませんが、本を買ってもらうことは簡単ではないのでしょう。それでも、本を読む権利(教育受けたり文化的活動をする権利)、それによって幸せになる権利はある。幸せな人生を送る権利もある。たとえ移民の子どもでも・・・それを教えたのはリベロなんですよね。

他にリベロに本を売りに来る移民の男性も同様。そして地元の客、隣のバールのウェイター、様々な人を受け入れるリベロの温かさ。そんな人間関係がしっかり残っているイタリアの古き良き小さな村・・・そういう意味でも、イタリアらしさがあふれている映画です。

こちらはイタリアでの公式予告ビデオ

最後のリベロのフレーズは

Qualunque cosa accadra’, non dimenticare mai che per ogni uomo il diritto piu’ importante e’ il diritto alla felicita’

何か起こったとしても、人間にとって一番大事な権利は幸せになる権利だってこと、決して忘れてはいけないよ

実際に思い入れを持ってチヴィテッラ・デッラ・トロントを訪れたからか、私には余計に愛おしく感じる映画でした。どんな村か気になった方は、ぜひ 拙書「イタリアの美しい村を歩く」を読んでみてください。

愛すべき、美しい30の村
飾らない、ありのままのイタリアへ!

人口や景観など、「イタリアの最も美しい村」協会が設けた厳しい基準を満たした村だけが加盟を認められる「イタリアの最も美しい村」。その中から、イタリア在住20年以上、トスカーナ州の田舎町に暮らす著者が、“忘れられない”30の村をセレクト。古きよきものが息づく小さな村の魅力を、旅先での出会いやエピソードをちりばめながら綴る。

本の詳細はこちら

 

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