イタリアを代表する近代彫刻家の1人マリーノ・マリーニは、1901年にフィレンツェ西の中規模な町・ピストイアに生まれます。ピストイアにも美術館や財団がありますが、彼の死後、「マリーノが特に愛した町」であるフィレンツェに200近い作品が寄贈され、この美術館に展示・保存されることになりました。美術館の建物は元教会。かつては1100年代に建設されたサン・パンクラ―ツィオ教会は、ナポレオンの侵略の後は軍隊や工場の施設となり、1980年代にミュージアムとなるべく改装されました。
中に入ると、明るい空間が奥に広がります。現在は後陣は取り払われ、その部分が大きなガラス窓に。1階は主に、マリーノの作品でも中心的なものだった、ブロンズの大きめの作品が並んでいます。元々3身廊の教会なので脇の身廊や翼廊にも展示があり、1階だけでも結構見ごたえのある作品数ですが、展示はなんと3フロアにも!
脇の身廊から階段を上ると、こんな風に身廊の壁にあった柱、そしてアーチなども残っており、かつての教会だった頃の姿がしのばれますね。改築された部分は、マリーノの作品と調和するようなシンプルながらモダンな作りで、建築的な面からも面白いミュージアムです。
3階まで来ると、祭壇上の円天井に描かれたフレスコ画も近くに見えますよ。
マリーノのイメージはやはり彫刻なのですが、ここではたくさんの絵画も展示されています。絵画と言うよりも、彫刻を制作するための下絵?これは1つ上の写真の彫刻と同じようにも見えますし、
1階にあるこちらは対になって展示されているので、やはり彫刻用の下書きだったのでしょう。
モノクロの絵だけでなく、こんなカラーの人物画もありました。彫刻と絵画、と分野は違えど、細かい部分まで敢えて表現をしないところは、マリーノの作風ですね。サイトを見ると、これは1920年代の作品で、年を追うごとに抽象的で形をはっきり描かないように、晩年はモノクロや青単色になっていったり、アーチストとしての発展過程が面白いです。
フィレンツェにはたくさんの美術館や教会がありますが、近代美術は少ないですし、こんなユニークで才能にあふれた芸術家の作品が無料で見られるのですから、これは行かない訳にはいきません。駅やレプッブリカ広場からも近く、他の美術館が閉館が多い月曜日に開いているのも魅力的。マリーノの世界に、どっぷり浸ってみて下さい。
ギャラリー(クリックすると拡大します)
基本情報
Piazza di S. Pancrazio, Firenze
Tel : +39-
土日月のみ、10:00‐19:00
大人10ユーロ、子ども(6~18歳)6ユーロ、家族(最低大人1人、6~18歳の子どもが1人がいる家族で最高6人まで)25ユーロ
愛すべき、美しい30の村
飾らない、ありのままのイタリアへ!人口や景観など、「イタリアの最も美しい村」協会が設けた厳しい基準を満たした村だけが加盟を認められる「イタリアの最も美しい村」。その中から、イタリア在住20年以上、トスカーナ州の田舎町に暮らす著者が、“忘れられない”30の村をセレクト。古きよきものが息づく小さな村の魅力を、旅先での出会いやエピソードをちりばめながら綴る。
本の詳細はこちら
「フィレンツェから日帰りで行ける!トスカーナの小さな村10選」
「トスカーナのおうちごはん春夏編20レシピ」
「コロナ・ロックダウン緩和直後のイタリア・フィレンツェ記録写真集(モノクロ版)」
「コロナ・ロックダウン緩和直後のイタリア・フィレンツェ記録写真集(カラー版)」
「トスカーナのおうちごはん秋冬編20レシピ」
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