【テーマのある旅】フラ・アンジェリコの「受胎告知」を巡る、トスカーナの旅

皆さんのトスカーナ滞在のヒントになるかも?テーマのある旅の第二弾は、フラ・アンジェリコの「受胎告知」巡りです。第一弾はこちら

【テーマのある旅】ロマネスク様式の教会を巡る、トスカーナの旅

さて、フラ・アンジェリコの有名な絵画「受胎告知」。おそらく皆さんが思い浮かべるのは、フィレンツェのサン・マルコ修道院のものだと思います。しかし、もう1つの有名な同画家の同絵画はスペイン・マドリードのプラド美術館に、そして、同じトスカーナにあと2か所、合計4つが残されています。もう2か所も、受胎告知を見るだけでなく、村としても、そして他の見どころもあり、電車とバスで比較的簡単に行けるところばかり。サンマルコの受胎告知しか見たことない方、また、どれも見たことないけど興味を持った方、ぜひこのフラ・アンジェリコの「受胎告知」巡りの旅、してみて下さいね。

フラ・アンジェリコについてはこちら(Wikipedia)をご覧ください。ジョットと同じく、おらが村近郊のヴィッキオ出身!リンクにも書いてますが、フラ・アンジェリコ、と、ベアート・アンジェリコは同一人物。フラ=修道士、ベアート=福者、であり、アンジェリコ自体も本名でなく愛称です。この記事では、分かりにくさを回避するため「フラ・アンジェリコ」に統一しています。

フィレンツェ、サン・マルコ美術館

フィレンツェ、サン・マルコ博物館(修道院)の2階を上がってすぐ、北側廊下にあるフレスコ画。制作年は確定できておらず1440年~50年の間とされていますが、他の作品と比べて一番新しいフラ・アンジェリコ最盛期の作品となります。私はつい最近までこれしか見たことなかったのですが、修道院という環境だからか?素朴で清貧、色調も明るく柔らかい。他の作品にあるアダムとイブの楽園追放の背景もなければ、精霊を示す鳩も、マリアの膝に置かれた書物もありません。大天使ガブリエルやマリアの服にも金装飾も一切ないのですが、ガブリエルの羽の鮮やかさに目をひかれます。

ここサン・マルコ博物館には、フラ・アンジェリコのもう1つの「受胎告知」があります。2階は僧の個室が並ぶのですが、それぞれに1つづつフレスコ画が描かれており、その第3室がこの「受胎告知」。廊下にあるものよりも、全てが更に簡素となり、マリアは青のマントをかぶっていないだけでなく、台の上に立っている状態で告知を受けます。他、個室でフラ・アンジェリコのフレスコ画が残っているのは第1、7、10室、そして図書館にはフラ・アンジェリコ作とされる装飾本の展示もあります。1階の中庭や、聖堂参事会室、巡礼宿泊所にもフラ・アンジェリコの作品が数多く、また現在ブックショップとなっている食堂にはギルランダイオの「最後の晩餐」もありますので、お見逃しなく。

コルトーナ、教区博物館

アレッツォ県でも人気の高い小さな村・コルトーナ、ドゥオモの前にある小さな教区博物館に、もう1つの受胎告知があります。製作時期は1434年ころ、コルトーナ旧市街すぐ外にある、サン・ドメニコ教会の祭壇画として描かれたもの。サン・マルコ美術館はフレスコ画ですが、コルトーナと下記のサン・ジョヴァンニ・ヴァルダルノ、またプラド美術館のものは全て板絵になります。取材通訳でインタビューしたキュレーターさんの話では、教会側の制約がなくアンジェリコの自由な意思が反映されて描かれているそうで、そう言われてみると会話が漫画のように記されていたり、そのまま動き出してしまいそうな臨場感が感じられる作品です。

同じ部屋には、同画家の「聖母と聖人たち」、そしてシニョレッリの「十字架降架」なども。小さな村の小さな博物館とは思えない名作がそろっています。

サン・ジョヴァンニ・ヴァルダルノ、サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ大聖堂博物館

写真はサンタ・マリア・デッラ・グラツィエ大聖堂博物館から貸与&掲載の許可を頂きました。館内は撮影禁止なので、作品を目でじっくり鑑賞して下さいね。

フィレンツェからもアレッツォからも直通電車で約30分という、便利な場所&穴場の小さな村がサン・ジョヴァンニ・ヴァルダルノ。コルトーナまではガイドにもそれなりに出ていますが、サン・ジョヴァンニ・ヴァルダルノ自体が少なくとも日本では超マイナーな村であり、そこにフラ・アンジェリコの受胎告知があるなんて、ほとんどの人が知らないのではないでしょうか。駅からも見える大きな大聖堂のある広場の、大聖堂向かって左側の建物2階にある博物館に、知られざる「受胎告知」が展示されています。元々はこの村のモンテカルロ教会に置かれていたものです。製作時期は上記のコルトーナのもの、そしてプラド美術館のものとほぼ同時期の1432年~35年で、板絵のテンペラ。構図や描かれているものもコルトーナのものと似ていますが、こちらは額自体がアーチになって2つに分かれており、また遠近法の消失点がコルトーナは左にあるのに対し、これは屋内の真ん中、また全体的に暗く色数が少ないコルトーナに対し多くの色を用い、壁のマーブル模様とそれが映りこんだ床がとても印象的です。

他にも15世紀~19世紀の絵画や彫刻、銀細工、儀式用の祭服やかけ布なのが展示されています。

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3か所・4つのフラ・アンジェリコの「受胎告知」、いかがでしたか?同じ画家の同じテーマの作品でも、見比べてもいろいろ違っていて面白いですね。共通しているのは、というルネサンスの幕開けを感じさせる遠近法や人物のリアルさ、そして、マリアの動揺しながらも強い意志を感じる表情。アンジェリコ~天使のような、という愛称で親しまれた敬虔な修道士の信仰が、どの作品からもにじみ出ています。

サン・ジョヴァンニ・ヴァルダルノとコルトーナ最寄り駅は同じ沿線なので、フィレンツェ発着でがんばれば1日で両方周れます。ゆったり周りたい方は、フィレンツェ→サン・ジョヴァンニ・ヴァルダルノ→アレッツォまたはコルトーナ泊で、1泊2日でも良いですし、その後にローマまで行くのもありですね。自分たちだけで行くのが不安な方は、通訳アテンド付きツアーをご利用ください(アレンジできます!)。

通訳アテンド同行で安心!電車&バスで行くワンディトリップ

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