おそらくイタリア、いやヨーロッパに来られると皆さん感じられることだと思うのですが、建物がとても美しいですよね。石造りという根本的な建築方法の違いもありますが、そんな歴史的な建造物を壊さずに保存していることが1つ。そして面白いのは、今まではあまりなかったような組み合わせだとか、遊び心とか。なんか美しいものに対する感覚や芸術に対する意識がやはり高いんだなぁと驚かさせれることが多々あります。
先日、まさにそんなことがありました。ライター仕事で行ったポンテデーラで、取材先のアンジョリーニのお店に向かって駅からてくてく歩いているとき・・・ポンテデーラって旧市街はないし、あまり味気ない中都市なのですが、いきなりTOP写真のような建物が現れたから、もうびっくり!アポの時間もあったので写真1枚だけ撮り、あとで調べたら、なんと銀行の支店だったのです。銀行の名前は Banca Popolare di Lajatico(ラヤーティコ協同組合銀行)。
1884年創業の歴史ある銀行で、支店もピサ県を中心に18支店。このポンテデーラ支店がいつできたかは分かりませんが、かつての映画館をラヤーティコ出身の建築家アルベルト・バルタリーニ、アーティストのウーゴ・ネスポロを起用して立て替えました。銀行だけに数字のモチーフですが、堅苦しい印象はなく、カラフルで見ているだけで楽しくなるような建物です。これは外装だけでもなく、内装も。なんだか行きたくなる銀行です(銀行サイトには、内部の写真も掲載されています)。
ちなみにラヤーティコというと、日本はもちろん、世界的に有名なある人の出身地でもあります。トスカーナ、いやイタリアが誇るテノール歌手のアンドレア・ボチェッリ!旧市街もなかなか良さそうなのですが、郊外にあるこの「Teatro del Silenzio(静寂の劇場)」が素晴らしく・・・ラヤーティコ協同組合銀行ポンテデーラ支店の建築家でもあるバルタリーニの夢のプロジェクトにアンドレア・ボチェッリ、ラヤーティコ市、ラヤーティコ協同組合銀行などが参画し、2006年7月にボチェッリのコンサートともにオープン。
現在はアンドレア・ボチェッリが名誉会長、弟のアルベルト・ボチェッリが社長、バルタリーニが芸術監督となり、毎年7月のボチェッリのコンサートを行っています。昨年はコロナで中止になりましたが、現在は2021年7月22日・24日のボチェッリのコンサート予定されています。催しがなくてもコンサートに行かなくても、一度この空間・風景を見てみたいなぁ・・・
トスカーナでの建築あれこれは、FRAZECREZEさんのマガジンにも連載していますので、どうぞご一読ください。
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