小さな村好きの方には、あまり馴染みがないピサ県エリア。しかし、前から気になっていたヴィコピサーノの近くで仕事があったので、これは行くしかない!と足を伸ばしてみました。前から写真などもいくつか見てチェックはしていたのですが
- 公共交通機関だけで簡単に行ける(フィレンツェから約1時間半、ピサからは約1時間)
- 要塞、城壁、塔と歴史的建築物
- アーチや石畳の路地など萌えポイントもいっぱい
・・・と、予想以上にとっても素敵な小さな村だったのです。
ヴィコピサーノ旧市街周りには2つバス停がありますが、このカヴァルカ広場が分かりやすいです。ご覧のように、すぐに3つの塔がにょきにょきっと・・・14本の塔が残る世界遺産サン・ジミニャーノには1本足りませんが、なんと13本の塔(旧市街内に9本+城壁にある4本)があるんですって!(このサイトから地図が見られます)他のトスカーナの村と同じように、中世では都市国家の領土争いに巻き込まれたヴィコピサーノ。アルノ川とセルキオ川からも近い位置にあり、また巡礼路が通ることもあったので、10世紀からいわずもがなピサと、その隣国との間で揺れ動きました。最終的には1406年7月にフィレンツェの支配下にはいり、その3か月後の10月にピサ共和国も消滅します。
本当に小さい村なのでどこから周っても良いですが、まずは歴史的地区外側の見どころに行ってみましょう。中世時代ヴィコピサーノには5つの教会がありましたが、唯一外にあった教会であり、おそらく今も残る唯一の教会、サンタ・マリア教会です。カヴァルカ広場を北側(上の写真の左の道)に行くと、すぐ左側に見えてきます。
記録に登場するのはなんと934年ですが、現在残っているのは、12世紀のもの・・・それでも十分古いのに、ご覧のようにとても端正で美しい外観。ロマネスク様式の3身廊で、左右には6本の柱が並んでいます。柱は灰色砂岩ですが、左側の1本目、3本目、6本目はなんと!ローマ時代の大理石を利用しているそう。
フレスコ画や後陣にある木製の十字架も1200年代のものと、そして祭壇やベンチなども見ごたえがあり、村の中に入る前にかなり興奮してしまいました。そしてロマネスク教会で好きな後陣を外部から、と思って歩いて行ったのですが、個人宅?の庭となっていて木も茂っており、見ることができず残念!
教会前から続く城壁沿いに前に進むと、こんな塔が。「4つの門の塔」の名前通り、4方向にアーチになっています。ここから村へ入れば要塞に近そうなので、そのまま坂を上ってゆくことにしました。今はグーグルマップがあって便利なのですが、アップダウンや本当に小さな路地は分かりにくく、予想外に疲れてしまうこともありますが、このヴィコピサーノもまさにそんな村。歩き回るのは疲れますが、それも吹き飛ぶような路地や民家、パノラマに癒されます。
たとえばこのおうち♥ そしてこの右横は「セレッティの塔」、こちらも12世紀の建設ですが、民家として使われていた塔だそうです。
そこから道なりに降りてゆくと、今度は立派な建物?ここは後で登場するプレトリオ宮にあった行政部門を移設するため、1600年代にできた比較的新しい建物です。とはいえ400年も前の建物で、今も市役所として使用されているのがすごいですね。こちらの建物左にそびええるのが、「双子の塔」。
そして今度は「城通り」を進み、路地を上ると、最大の見どころであるブルネッレスキの要塞と、その奥にプレトリオ宮に出ます。要塞はフィレンツェ共和国から名を受けたブルネッレスキの設計で、1434年より建設を開始。そのころからヴィコピサーノはこのエリアの中心的な町として栄えますが、1500年代半ばより、トスカーナ大公国が安定した政権となってからは軍事的な重要性を失い、少しづつ今のような小さな村へと姿を変えていくのでした。要塞・プレトリオ宮・あとで紹介する時計の塔などは、今回は外から恨めしく見上げただけで終わりましたが、週末には予約制のガイドツアーがあります。ツアーに参加したい方は、こちらからどうぞ。
その先は行き止まり、あるのはこんな長い階段。バスから見た城壁がキレイに見えるパノラマポイントを探しがてら、下に下りました。雨でぬれていたのもあり、おそるおそる。
おかげで、要塞好きには萌え萌えのベストショットが撮れました!しかも太陽も出てきたので、更にテンションアップ~そこからさらに先に進み別の入口から村に入ると
ヴィコピサーノで一番古い「古い郵便局」という12世紀の建物が。ご覧のように4つの建物から成り、この時代の特徴である当分半円のアーチに、この地方で採れるヴェッルーカノ石が使用されています。植木なども置かれてあったので、おそらく今も民家として使われているようですが、この広場に立つと本当に中世にタイムスリップした錯覚に陥ってしまいます。そこから村の中心に進むと、今度はヴィコピサーノで一番低い14mのピエトライア塔、修復中のマラニーマ塔を経て・・・
ズキューン!!と高い「時計の塔」に出ます。12~13世紀の建設で高さは20m、プレトリオ宮のすぐ下に建てられ、そこから村の道や周辺を監視する軍事目的の重要な役割を果たしていました。ピサがフィレンツェに統治され軍事的な目的が失った後は、屋根と時計が設置され、鐘楼としての役割を担うようになります。現在のこる時計の機構は18世紀のものですが、16世紀にはすでにこの時計の存在が記録されているそう。こちらも上れるのは週末だけで、ガイドなしとガイドありが選べます(詳細と予約はこちらから)。ちなみに、この塔から道を挟んだ向かいには、観光案内所があります。
こんな風に見どころがたくさんのヴィコピサーノ。バス停の広場周りにはレストラン、お店なども数軒あり、何もないと思ってパニーノを買い食いしてきたのを後悔したほど・・・次回はギャラリーにある肉屋併設のレストランか、バス待ちで入ったバールで食事をしてみたいです。また、広場の奥にある建物では、毎月第二日曜にアンティーク市も開かれているので、それに合わせていくのも良いですね(ただし、残念ながら日曜にバスの運行はありません・泣)。
ギャラリー(クリックすると拡大します)
基本情報
Vicopisano Turismo(ヴィコピサーノツーリズモ)
【行き方】
フィレンツェより直通電車で45分、ピサ中央駅より直通電車で20分、Pontedera-Cascina.T 駅下車。駅前の左前方にあるバスターミナルより、バス140番で約25分。ピサ中央駅から徒歩5分のPorta Sestaバス停より約50分。
バス140番の時刻表や路線図はこちら
「Download line timetable and map」をクリックすると時刻表がダウンロードできます。
電車の乗り方などについてはこちら、
バスの乗り方などについてはこちらを参照ください。
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愛すべき、美しい30の村
飾らない、ありのままのイタリアへ!人口や景観など、「イタリアの最も美しい村」協会が設けた厳しい基準を満たした村だけが加盟を認められる「イタリアの最も美しい村」。その中から、イタリア在住20年以上、トスカーナ州の田舎町に暮らす著者が、“忘れられない”30の村をセレクト。古きよきものが息づく小さな村の魅力を、旅先での出会いやエピソードをちりばめながら綴る。
本の詳細はこちら
「フィレンツェから日帰りで行ける!トスカーナの小さな村10選」
「トスカーナのおうちごはん春夏編20レシピ」
「コロナ・ロックダウン緩和直後のイタリア・フィレンツェ記録写真集(モノクロ版)」
「コロナ・ロックダウン緩和直後のイタリア・フィレンツェ記録写真集(カラー版)」
「トスカーナのおうちごはん秋冬編20レシピ」
いずれも読み放題に入っています!