マルケ州の5県のうち、一番南にあるのがアスコリ・ピチェーノ、その県庁所在地があるのが同名のアスコリ・ピチェーノです。2012年にマルケ州にバカンスに来たときは北を中心に周ったため、次回ね、と繰り越した場所のうちの1つで、一番来てみたかった町。どんな町かは具体的には知らなかったものの、TOP写真のポポロ広場の美しさに魅かれていたのかもしれません。ポポロ広場は町の中心であり、「イタリアのサロン」とも呼ばれるほどイタリアを代表する広場の1つ。フィレンツェにはあまりない柱廊のある2辺、教会、そして市民隊長の館に囲まれ、地面はピカピカのトラバーチンです。古くからトラバーチンの産地としても知られ、今も採石場があるアスコリ・ピチェーノの町は、あらゆる建造物や道がトラバーチンでできているのです。
まずは市民隊長の館に入ってみましょう。ローマ時代以前が起源で、長く教皇領であったアスコリ・ピチェーノですが、自由都市の時代もありました。もともとは13世紀に町の職人階級からなる議会の本部で、その後、その長である「隊長」の館に。入ってすぐは美しい中庭で、2階まで上ることもできます。内部は定期的な展示会スペースとなっており、展示会に入場しないと見学はできないようでした。
そして市民隊長の館の左には、ピンクの可愛らしい建物が・・・こちらは老舗のバール・メレッティです。もともとは税関だったそうなのですが、1880年代に郵便局にリノベーション。その後1905年にシルヴィオ・メレッティにより購入され、1907年にバールとしてオープンします。リバティ様式の美しい内部で、かつては文学者などが集い、映画やCMなどにも使われています。エスプレッソ1杯だけでも飲んでおけばよかったな。
市民隊長の館の前は、美しい柱廊にたくさんの商店や飲食店が並んでいます。
そして奥にあるのが、サン・フランチェスコ教会。この地のフランチェスコ会修道士のために1258年から建設が始まりましたが、完成したのは1549年。写真は右側面で、ファザードは広場ではなくポポロ広場と並行して走るトレヴィオ通りにあります。この教会、個人的に面白かったのが、この前に寄ったトッレ・ディ・パルメで会った友人が教えてくれた伝説。アスコリ町歩きが始まってすぐ、この伝説を確かめに、我が家の男性陣が一斉に注目したのがこの教会の鐘楼なのです・・・というのも
この鐘楼を建てた建築家が報酬を支払ってもらえず、腹いせに鐘楼の上の柵の1本を男性性器の形にした
という、なんともイタリアらしい?伝説。あまりに小さくて分かりにくいですが、男性陣の出した答えを友人に伝えたら、正解だったようです。しかし、間近で見させてほしい(笑)。
ポポロ広場にあるから、てっきりサン・フランチェスコ教会がドゥオモなのかと思いきや、ドゥオモはポポ広場からすぐ南東にあるアッリンゴ広場にあります。正式名称は、この町の最初の司教にちなみ、聖エミーディオ大聖堂。この広場にはドゥオモだけでなく、市民絵画館や観光案内所のあるアレンゴ宮、教区博物館のあるエコスコピオ宮、国立考古学博物館などもあります。
もともとは11世紀にあった教会を、14世紀に拡張して現在の形になりました。内部は青をベースにしたフレスコ画で彩られていますが、これはすべて1800年代に描かれたもの。圧巻は地下礼拝堂で、聖エミーディオの遺品を旧市街へ運ぶべく11世紀に造られたものですが、現在の中央部分は1700年代に改築され、天井を上げ、トラバーチンの柱がヴェローナの赤の大理石の柱に代えられました。後陣のモザイクは1954年に完成した、第二次世界大戦中に激しい抵抗をしたアスコリのパルチザンの物語です。しかし私が一番惹かれたのは、やはりオリジナルのまま残っている左右の柱と天井のフレスコ画でした。ドゥオモにはボランティアのガイドさんがいて、リクエストすれば説明してくれるようです(私は地下礼拝堂でほかのグループの方に説明しているのに混じりました)。
1482年から教皇領でもあったからか、前述の2つの教会以外にも、大きな教会がたくさんあることに驚かされます。旧市街は東側に観光スポットや商店が多くありますが、西側は地元民のエリアといった感じで、その西エリアの2つの教会でちょうど結婚式が行われていました。散策の最後にもう一度ポポロ広場に戻った時は、この2組が教会から移動してパーティをやっているのも見ることに。この黒のオープンカー、黄色のチンクエチェントなど、車も可愛らしかった!(下のギャラリーに写真がありますので、イタリア車好きな方はぜひ)
地図を見ながら知ったことは、この町はトロント川、そして支流のカステッラーノ川によって3方が囲まれていること。なので、町に入るのには橋を渡ってアクセスすることが多いのです。それらの橋を見に旧市街の東側を歩きましたが、北東のエリアは高低差のある橋がかかっており、アスコリが川からかなり高い位置にあるのがよくわかりました。
そこから北側の道を歩き、北西の城壁が残るエリアへ。ここは観光客はほとんどおらず、地元民が集っておしゃべりをしたり、犬の散歩に来ていました。なので、コロナ前だとしてもほとんど見ることがない?アジア人の観光客(私)に目線が集中して、ちょっと焦りましたが、この西側一帯は地元の雰囲気がよく感じられて楽しかったです。
そしてアパートで夕食の後、あの広場をもう一度・・・と1人で町に繰り出しました。コロナの規制もほとんどなくなった、7月の土曜日ってこともあり、ポポロ広場はもちろん、周辺の飲食店はすごい賑わい!この夏の思い出が一過性のものでなく、この秋、この冬、そして来年も続いてほしい、そう願う夜の散策でした。
ギャラリー(クリックすると拡大します)
基本情報
【行き方】
アンコーナより直通電車で約2時間。電車の乗り方などについてはこちらを参照ください。アスコリ・ピチェーノ駅から旧市街中心のポポロ広場までは徒歩15分です。
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