フィレンツェ北部・ヴィッキオ、「芸術と手仕事の学校」でアート体験

フィレンツェから直通電車で約1時間、ムジェッロ地方の村・ヴィッキオ。ルネサンスの先駆けとなった偉大な芸術家・ジョットや「受胎告知」で有名な修道士フラ・アンジェリコを輩出した村としても有名です。その文化的な側面から「ムジェッロの芸術首都」としてアピールしていこう、という市の意向に合わせるように、ムジェッロ地方の芸術家や職人が発足したのが「分散した学校」と名付けられた芸術と手仕事の学校です。というのも、学校本部はPRや講座開催を行う拠点ではありますが、メンバーはそれぞれの工房やフィレンツェやその郊外の屋内外スペースでも出張講座などを開催しているから。個人の活動だけでなく、芸術や職人の手仕事の価値、そしてその楽しさをもっともっと知ってもらおうという活動なのです。

本部はヴィッキオの旧市街、フィレンツェ門すぐのチェッリ―ニ家の館。そう、16世紀の芸術家ベンヴェヌート・チェッリ―ニが1559年~71年まで滞在した建物だから。第二次世界大戦で一部損壊したものの、フィレンツェ県によって修復され、現在は市が管理していますが、ここをこの団体が使用する許可を得ています。

そのメンバーですが、

  • ジュエリーと陶芸のパオラさん(ヴィッキオ)
  • フェルトデザインのサラさん(ヴィッキオ)
  • 機織りのバルバラさん(スカルぺリア
  • 生地・ワイヤーの立体アートのレティツィアさん(パラッツォ―ロ・スル・セニオ
  • エッチングのヴィンチェンツォさん(ヴィッキオ)
  • 革職人のステファノさん(ヴィッキオ)
  • ナイフのベルティ工房スカルぺリア

元々はムジェッロ地方のプロモーションツアーに参加していたステファノさんと話したことがきっかけで知ったこの学校に、先日改めて訪問してきました。迎えてくれたのはエッチングのヴィンチェンツォさん、機織りのバルバラさん、立体アートのレティツィアさんの3人。まずは建物内の各アーチストの作品などを見せてもらいます。

エッチングはイタリア語でAcqua Forte と呼ばれる技法で、簡単に言うと銅のプレート彫った絵柄にインクを乗せて紙に写す手法です。紙だけを見ると細いペン描いたように見えますが、これが銅プレートから写されたものだとは!

自身の工房にある大きな機織りでは、販売用のストールなどを制作するバルバラさんですが、単発イベントなどでは大きな枠に太い毛糸で絵柄を作るタペストリーを参加者で作ったり、サークルモビールを作る講座を行っています。それはファンタジーを生かして糸で創作する楽しみを知って欲しいから。もちろん機織りの講座もありますが、小さい簡易の機織りで制作する場合でも最低3日~1週間かかるもの。もちろん、簡易機織り、本格的な大きな機織りの講座もリクエストにより開催は可能です。

そしてちょっと言葉では分かりにくかったレティツィアさんは、タペストリーに異素材を使って立体を出したり、写真のようにワイヤーを使って何かを表現したり、アクセサリーにしたり。こちらは手で触ってみましたが、金属とは思えないほど柔らかく、身に着けても軽くてとても素敵です。

この3人のアーチストに関しては、ヴィッキオにある学校本部または各人の工房にて講座を受けることができます。

体験できるアート講座

① エッチング

ヴィンチェンツォさん(TOP写真左から4番目)はフィレンツェのサン・フレディアーノ地区に工房を持っていましたが、田舎生活を求めてヴィッキオ近くの森の中に自宅兼工房を構えました。エッチングの作品はかつて日本へも輸出され、今も過去の作品のオーダーはもちろん、注文に応じて新しい作品を生み出しています。経験や希望に応じて制作の図柄、時間、食事によって3つのコースがあります。

① ヴィッキオの学校本部にて(3時間)
お1人・75ユーロ、日本語通訳は2人で+80ユーロ

② ヴィッキオ森の中の自宅またはアグリツーリズモにて(半日、ビュッフェの軽食付き)
お1人・95ユーロ、日本語通訳は2人で+115ユーロ

③ ヴィッキオ森の中の自宅またはアグリツーリズモにて(1日、ランチ付き)
お1人・120ユーロ、日本語通訳は2人で+160ユーロ

※いずれも最低2名より、材料費・自宅工房やアグリツーリズモの場合は最寄り駅からの送迎込み、英語対応あり
※画家の奥さま(TOP写真ヴィンチェンツォさんの右隣り)とともに、亡くなった親友が管理していたアグリツーリズモの管理も行っています。

※このアグリツーリズモ敷地内での野菜・野草・果物・栗などの収穫・料理レッスン・食事などのプログラムは、別記事で紹介します。

② サークルモビール

機織り職人のバルバラさん(TOP写真左から3番目)は、3時間コースでは上の写真のようなサークルモビールのワークショップを行っています。

◎ ヴィッキオの学校本部にて(3時間)
3人の場合のみ、お1人・60ユーロ、日本語通訳は3人で+90ユーロ

※材料費込み、英語対応可能
※3人以上の場合、また機織り講座(最低3日~)の場合はスカルぺリアの工房にて。最寄り駅まで送迎可能

③ 自然をモチーフにしたフリーアート

様々な素材で立体アートを制作するレティツィアさん(TOP写真左端)は、実、種、枝、花などの自然からイスピレーションを受けた立体のフリーアートのワークショップを行います。

◎ ヴィッキオの学校本部にて(3時間):最低5人以上、お1人・50ユーロ、日本語通訳は5人で+100ユーロ

※材料費込み、英語対応可能

ギャラリー(クリックすると拡大します)
基本情報

Scuola Diffusa del Mugello
Corso del Popolo 52, Vicchio

木・9:00-12:00、土と日・16:00-18:00
見学は自由、アートワークショップについては上の記述通り。
※開館日時は変更になることが多いので、上記リンクを確認ください

お問合せ&お申し込みは、こちら

 

愛すべき、美しい30の村
飾らない、ありのままのイタリアへ!

人口や景観など、「イタリアの最も美しい村」協会が設けた厳しい基準を満たした村だけが加盟を認められる「イタリアの最も美しい村」。その中から、イタリア在住20年以上、トスカーナ州の田舎町に暮らす著者が、“忘れられない”30の村をセレクト。古きよきものが息づく小さな村の魅力を、旅先での出会いやエピソードをちりばめながら綴る。

本の詳細はこちら

 

 AMAZON や 楽天ブックス 、各書店でも販売中!

関連記事

  1. フィレンツェ北部・ルフィナ、キアンティ・ルフィナの「ワイン博物館」

  2. ツーリング・クラブ・イタリアーノ認定「オレンジフラッグ」とは?

  3. 【ガイドにないフィレンツェの教会】サン・フェリーチェ・イン・ピアッツァ教会

  4. フィレンツェ近郊ロンダで「スロートレッキング&地元食材の料理」の週末プログラム(12/15)

  5. 草と花のスタンプでスカーフを作るワークショップ@休暇の家

  6. 地域社会協同組合「Parco Vivo」、アミアータ山の源泉所見学とトレッキングへ行こう!

テキストのコピーはできません。