フィレンツェ北部「キー二・マニファクチュア市立博物館」で、イタリアン・リバティに酔いしれる

フィレンツェ北部のムジェッロ地方、その中心的な町であるボルゴ・サン・ロレンツォにあるミュージアムです。ミュージアムがあるのは、地元の伯爵ぺーコリ家のヴィラ。ミュージアムの名前となっているキー二家のアーティストにより、1854年以降何年にもわたり装飾が加えられていったものです。1979年、ヴィラはボルゴ・サン・ロレンツォ市に寄贈され、1999年にこの博物館がオープンしました。1800年代末~1900年代半ば、芸術の世界では「アール・ヌーヴォー=イタリアではリバティ様式」が生まれ、この時代にこの町に炉を構えたキー二家の陶器、ステンドグラスなどが展示されています。

見学は記されたコースに沿っていきましょう。最初の「小さな暖炉の間」では、キー二一族の作品の多彩さをダイジェストで紹介しています。この部屋と、見学コースではないですが会議室となっている部屋など、天井や壁の装飾もキー二が手掛けたそうですが、その可憐な美しさにしばしうっとりしてしまいます。

続いての「煙の小間」は、ガリレオ・キー二とティート・キー二の1920~30年代の作品展示。

「紋章の間」は、1900年初期にガリレオ・キー二とティート・キー二によって描かれたものです。紋章はぺーコリ家と血縁関係にあるフィレンツェの貴族などのもの。一際大きな絵は、ガリレオによる作品の「ドラゴンを殺す聖ジョルジョ」。

「大きな暖炉の間」は、まさに大きな暖炉がある、現在はコンベンションなどに使用されている部屋です。陶器製暖炉はもちろんキー二家の作品で、内部の幾何学文様のタイルはガリレオの発案だとか。外部はルネサンス的文様にペーコリ家(イタリア語でペーコラ=羊)の紋章があります。

部屋の壁上部の帯もキー二家の作品で、ブドウや花が描かれています。また部屋には、フィレンツェや各都市に現存する、リバティスタイルを用いた建築物がパネルで紹介されています。

そこを出ると、とってもエレガントなロビーが。壁の装飾や鉄製のランプ、そして陶器のペーコリ家系図もキー二とサン・ロレンツォ窯の作品です。螺旋階段の上を見上げると、こちらにもペーコリ家の紋章が描かれています。

ロビーからそれ以降、本格的な作品の展示が始まります。建築装飾の為に製作された様々な作品、ステンドクラス、マヨルカ焼き、グレス(砂岩で作った陶磁器)など。ステンドグラスや一部の陶器作品は、当時のリバティスタイルの特色をよく残しています。

キー二家のサン・ロレンツォ窯の看板?色使いや字体に時代の風潮を感じますね。

最後の通路には、キー二家の人々がパネルで紹介されています。中心的人物で一時代を築いたガリレオは、俳優さんかと思うようなイケメンでググッと心を奪われそうになりました(写真は小さな暖炉の間にあった本より)

フィレンツェ北部の田舎町に、こんな歴史とこんなアートがあったとは、近くに住んでいる私でも驚きでした。ミュージアムでは、町に残るリバティㇽタイルの建築物マップもあったので、時間ができたら行ってみたいと思います。このミュージアム、おらが村滞在の間、またフィレンツェからでも半日あれば行けますので、近代のイタリアンアートを垣間見たい方、田舎町にふらっと遊びに来たい方にもおススメ。陶器に興味がある方は、産地として有名なエミリア・ロマーニャ州のファエンツァとフィレンツェの路線途中に、ボルゴ・サン・ロレンツォがあります。ミュージアムの最寄り駅は別路線の1つ先ですが、旧市街を散策しながらこのミュージアムに寄るのも良いですよ。

ギャラリー(クリックすると拡大します)
基本情報

Museo Chini
P.le Lavacchini, 1 a Borgo San Lorenzo (FI)
Tel : +39-055-8456230
4月~10月:木~日の9:00-13:00/15:00-19:00、イースター翌日は開館
11月~3月:土日の10:00-13:00/15:00-19:00、12月8日は開館
休館日:1月1日、イースター、4月25日(木~日であれば開館)、5月1日、6月2日(木~日であれば開館)、8月15日、12月25・26・31日

【行き方】
フィレンツェより直通電車で約1時間10分、Borgo San Lorenzo Rimorelli 下車、徒歩13分。電車の乗り方などについてはこちらをご覧ください。

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