トスカーナには多くの銘柄がありますが、そのうちでも有名なのが、ヴィーノ・ノービレ・ディ・モンテプルチャーノ。Nobile=貴族、高貴な、という名前を持つ、イタリアでも最も古い歴史を持つワインの1つです。一般的にワイナリーはブドウ畑の横に設置されているので田舎にあるのですが、モンテプルチャーノは旧市街の建物の中にあることが多く、町観光と一緒に楽しめてとても便利。
モンテプルチャーノの中心的広場・グランデ広場からほど近い「デ・リッチ」は、モンテプルチャーノの有力家系であるリッチ家の館にあります。館は枢機卿ジョヴァンニ・リッチの命により1562年に完成されたものですが、セラーはその前からある町の中世に建設された部分にあります。リッチ家の館に入ったら右横にセラーへの入り口があり、そこから87段の階段を下ってゆきましょう。
薄暗い中を下っている中で見えるのは、紋章。こういう2つの紋章が組み合わさったものは、婚姻した両家の紋章です。リッチ家は左側なのですが・・・何か分かりますか?リッチ=お金持ち、貴族だけに英語のイメージがあるかもしれませんが、イタリア語でリッチ=ハリネズミ!写真が不鮮明で分かりにくいですが、おてんと様にぐっと顔を向けたハリネズミなんですが、これには伝説が:12世紀頃、モンテプルチャーノは天気予報を魔女に予言させていました。それを覆したのが、ハリネズミの行動から天気予測を提唱したある男性。彼は「リッチョ」と呼ばれるようになり、リッチ家の紋章もその伝説にあやかったとされています。
そしてブドウや樽のもわ~っとした芳香が漂ってきたと思うと・・・見えるのはこんな風景。
これだけで、ワイン好き、いや建築や歴史が好きな方も興奮!ではないでしょうか。ただただ美しい、この空間に身を置くだけでも価値があります。内部は6.7mの柱とアーチによって3廊に分けられ、まるでロマネスク・ゴシック様式の大聖堂のよう。また、凝灰岩の土壌に掘って作られた空間のため、ワインに必要な湿度や温度、通気性を年間通じてキープしているそうです。
かつては見学無料だったのですが、現在は要予約で見学+おつまみ付き3本ティスティングの約75分のツアーが20€~。幅広い時間帯の中から選べ、1人でも参加可能(同じ時間を選んだ他の人とグループで)、英語も可能とあれば、決して高いツアーではありません。
芸術鑑賞のようなワインセラーを見学は鳥肌もの。ワイン好きの方はもちろん、そうでない方も、モンテプルチャーノ観光の1つにぜひ加えて頂きたいワイナリーです。
ギャラリー(クリックすると拡大します)
基本情報
Cantina De’ Ricci
Via Ricci, 11 Montepulciano (Siena)
Tel : +39-0578-757166
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