アレッツォ県の北部・カゼンティーノは、カゼンティネージ国立公園やラ・ヴェルナ、カマルドリなどの修道院で有名な地方です。山に囲まれた素朴な風景が残り、そこにある村々もどこか懐かしい佇まいを残すものばかり。そんなカゼンティーノでも、フィレンツェ県・おらが村と接したスティアは、日本でも公開された1996年の大ヒット映画「Il Ciclone(邦題:踊れトスカーナ!」が撮影された場所。2014年には隣のプラートヴェッキオ市と統合し、「プラートヴェッキオ・スティア市」となりました。
鉄道駅は幹線道路沿いにあり、そこから10分ほど歩くと商店や家が見えてきます。右側には市民の憩い場・マッツィーニ広場。花がたくさん植えられており、木陰にたくさんべんちもあるので、一休みするのにもちょうど良いです。大通りから広場を越えて、反対側のジェラート屋さんはとっても美味しいのでおススメです。
来た道を更に進んでいくと、次に右側に見えてくるのがマドンナ・デル・ポンテ礼拝堂です。「玉座の聖母子と、聖ロッコと聖セヴァスティアン」は、ロッビア工房の色彩テラコッタ。1531年の作品ですが、今もその美しさをそのままに残しています。ロッビア工房はフィレンツェですが、北はカゼンティーノから南はオルチャ渓谷の南端・ラディコーファニまで(もしかしたらもっと?)、本当にたくさんの作品を残しており、工房の規模や名声が伺えますね。他、祭壇上の天使のフレスコ画もとても可愛らしい、ぜひ訪れて頂きたい礼拝堂です。
そして小さな川。ここスティアは、フィレンツェやピサに流れる「アルノ川」が生まれる場所としても有名です。これはアルノ川ではなく、山からの支流?これが更に下のアルノ川に合流します。グーグルマップを追ってみてみると、なんと!スティアからおらが村に行く国道沿いに~ファルテローナ山に源泉がありました。
さて、橋を渡ったら右に曲がり、左側にあるアーチをくぐりましょう。
アーチから出て右側は、メインの広場であるタヌッチ広場!細長ーく、奥に行くにしたがって坂道になります。広場入ってすぐ左には、スティアの中心的な教会、サンタ・マリア・アッスンタ教会。最初にこの教会の名前が出てくる記録は1017年、前身となった教会は1150年に建設されました。現在残るファサードは18世紀のものですが、3身廊の骨格とその柱は1150年建設当時のものが残っています。また、こちらにもロッビア工房の釉薬を使ったテラコッタ2作品があります。
1976年より「鍛造アートのビエンナーレ」、その後、「鍛造世界大会」を開催していることもあり、村中に鍛治アートがいっぱい。このタヌッチ広場はもちろん、公園となっているマッツィーニ広場、また周辺のロータリーなどにも多く見られますので要チェックです!
広場はたくさんの商店に囲まれていますが、どれもレトロな雰囲気が残っていて写真を撮りまくってしまいます(笑)。一番印象に残っているのが、このタバッキ!昔ながらの「塩、タバコ」と書いた看板が掲げられ、時代を感じる木製のドア、そして店構え・・・さすがに写真は撮れませんでしたが、またすんごい味のあるおばあちゃんが店番をしていました。タバッキというよりも、家庭雑貨全般を扱うお店のようです。
こちらは上から見た広場の全景。この左手前の石のテラスの下は今は空き店舗になっていますが、場所的に「踊れトスカーナ!」の車の修理工がいた場所と思われます。修理工はもちろん、皆が集まってお茶を飲んでいたバールも存在し、おそらく映画の後に改名したのか?「Bar Il Ciclone」と看板が掲げられていました。一度見た方も、まだ見ていない方も、Youtubeで完全版を見つけましたので、一度鑑賞してみて下さい!この広場、そしてフィレンツェやトスカーナの美しい田園風景、またトスカーナ弁の復習?にも。何度も何度も繰り返して見る、トスカーナ人が愛してやまない名作です。
フィレンツェからもアレッツォからも直通の公共機関で行く方法はありますが、時間のない方、また周辺の他の見どころと合わせて周る方は、ハイヤーツアーが便利です。アレンジしますので、ぜひお問い合わせくださいね。
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基本情報
【行き方】
フィレンツェ駅前バスターミナルよりSI90番のバスで Ponticelli 乗り換えで1時間45分。時刻表はこちらより、行きたい日の日付を変更してください。ANDATAはフィレンツェ→スティア、RITORNOはスティア→フィレンツェ。バスの乘り方などはこちらをご覧ください、またはアレッツォより直通電車で1時間強。電車の乘り方などはこちらをご覧ください。鉄道駅からタヌッチ広場までは徒歩15分です。ロマネスク様式のサン・ピエートロ・ディ・ロメーア教会は車で10分、「イタリアの美しい村」にも加盟しているポッピとは車で15分なので、ハイヤーで一緒に周ることをおすすめします。コーディネイトなど、どうぞお問い合わせください。
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