SNSの投稿などで気になっていた小さな村・ルチニャーノ。アレッツォ近郊は ポッピ 、アンギアーリ 、ロ―ロ・チュッフェンナ など素敵な小さな村が多いので、なかなか行く機会がなかったのですが、数年前にコーディネイトの行程でアレッツォーモンテプルチャ―ノ間にある小さな村に寄ることになりました。王道は コルトーナですが、「せっかくだから日本で知られていない村」とリクエストを頂いた際に提案してお客様にも気に入って頂き、遂に行くことができたのです。その後、「イタリアの美しい村を歩く」の取材や、その読者さんたちとのアテンドなど、近年はよく訪れるお気に入りの村の1つ。
SNSでよく見る写真は、上からの村の全景~ちょうど下記にリンクのルチニャーノ観光協会のTOP写真にも使われているのですが、ご覧のように旧市街は城壁に囲まれたキレイな楕円型。城壁の1つ内側の道も、同じ楕円形になっています。写真では分かりにくいですが、中心に向かって高くなっており、そこに市庁舎やツーリスト・インフォメーションがある中心の広場になっています。門は4つ、シエナに向いたサン・ジュスト門には誇り高きメディチの紋章が・・・現在の県区画とほぼ同じ、中世の頃からフィレンツェ、アレッツォ、シエナなどの町が交わる重要な丘の上の町だったのですが、他のトスカーナの町と同様に1500年代にはトスカーナ公国の領地となります。
サン・ジュスト門を入って左に行くと、左側には14世紀の塔、右側上に見えるのが1500年代末に建設されたコレッジャータ教会です。たまたまですが、ちょうど扉前でおしゃべりしていた男性がボランティアガイドさんで、いろいろ説明してくれました(おそらく英語は話せない)。祭壇後ろのマーブル模様の柱が絵であること、祭壇下の刺繍が見事なタペストリーはフィレンツェの工房の製作であること、礼拝堂のフレスコ画など・・・有益な情報以外でもプライベートの話など、かなりおしゃべりなので(苦笑)、時間がない方は意思表示しましょう(笑)。
コレッジャータ教会の左側面から上っていくと、そこはトリブナーレ広場。村の一番高みにあるメインの広場になります。上写真の左側は市庁舎で、入って左側すぐがツーリストインフォメーションカウンター、中は市立博物館も併設しており、何と言ってもこの村、いやキアーナ渓谷の至宝とも呼ばれる聖遺物箱である黄金の木が見どころ。黄金の木は1350年ごろから120年の時をかけて完成された聖遺物箱。高さ2m70㎝の金銀とサンゴから成る黄金の木は、クリスタルガラスの特別ケースに納められています。この
そのほかシエナ派の絵画などの展示、また歴史ある市議会場も見学ができるので2階にもぜひ足を運んでください。この市議会場と、市役所の斜め右下にあるサンフランチェスコ教会で挙式を挙げたカップルは、この黄金の木の前で記念撮影するのがお決まり。それはここで愛の誓いを交わすと「一生の幸せが約束される」という言い伝えがあるからなのだそうです。白と緑の縞々が愛らしいサン・フランチェスコは13世紀建設で、当時のフレスコ画が多数残っています。開いている時間が短いので、開いていたらすぐに入っておきましょう。
大きな見どころはそれくらいですが、他の小さな村と同様に、ゆくあてもなく路地を散策するのが楽しいです。この路地・階段は、ツーリストインフォメーションでもらった地図にカメラマークがついているように、なんともフォトジェニック! サン・フランチェスコ教会を左に見ながら、下りて行ったところになります。
サン・ジュスト門近くに商店や飲食店が集まっていますが、特におススメしたいのは繊細な絵柄が美しい陶器屋さん。あまりの美しさに吸い込まれるように店に入り、作業風景を見せてもらったり、偶然居合わせたご主人ともお話したり、そしてマンマと義妹のクリスマス・プレゼントにイニシャル入りの小箱を買ったのでした。
特に平日は観光客はほとんどおらず、あとは地元民だけの穏やかな雰囲気の村。最初に訪れた時のコレッジャータ教会のボランティアの人しかり、サンジュスト門でたむろしておしゃべりしているおじいちゃん達しかり、とっても「オヤジ度」の高い村でした(笑)
レストランは旧市街内、城壁の外にも数軒あります。 ですが、私がよく行くのは、地元民の多い城壁の外のトラットリア ですが、どこに行くにしてもキアーナ渓谷特産のキアニーナ牛、 アリオーネ の料理をぜひ食べてみてくださいね。
ここの魅力はイタリア田舎町の普通の生活が感じられること、そしてシエナーアレッツォ間のバスが通るので、シエナやアレッツォ拠点で動く人、この2都市をバスで移動する人には行きやすいこともあります。同じバス路線にある モンテ・サン・サヴィーノ なら公共交通機関だけで行けるほか、時間のあまりない方は、フィレンツェから東回りでオルチャ渓谷へ行く途中で寄ったり、ポッピ、アンギアーリ、ロ―ロ・チュッフェンナ、コルトーナなどの他のアレッツォ小さな村と組み合わせて、ハイヤーで行くことをおススメします。
最近知ったことですが、ルチニャーノは2010年のカンヌ映画祭でジュリエット・ビノシュが主演女優賞を受賞した「トスカ―ナの贋作」の舞台。ラブストーリーなのでもちろん黄金の木も出てきますし、ハイライトだけでもこの記事の写真にも出てくるスポットがいろいろと・・・・これは全編見なくては!
ギャラリー(クリックすると拡大します)
基本情報
【観光協会】
Visit Lucignano
【行き方】
138番のバスでアレッツォバスターミナルより約35分、シエナバスターミナルより約50分。他のキアーナ渓谷の3つの村へも行く場合、LS9番も使えます。
バス138番の時刻表や路線図はこちら
バスLS9番の時刻表や路線図はこちら
「Download line timetable and map」をクリックすると時刻表がダウンロードできます。
バス138番、LS9番ともにもう1つの歴史ある村、モンテ・サン・サヴィーノを通りますので、一緒に観光ができます。移動時間もたった20分!
バスの乗り方などは、こちらの記事を参照ください。
愛すべき、美しい30の村
飾らない、ありのままのイタリアへ!人口や景観など、「イタリアの最も美しい村」協会が設けた厳しい基準を満たした村だけが加盟を認められる「イタリアの最も美しい村」。その中から、イタリア在住20年以上、トスカーナ州の田舎町に暮らす著者が、“忘れられない”30の村をセレクト。古きよきものが息づく小さな村の魅力を、旅先での出会いやエピソードをちりばめながら綴る。
本の詳細はこちら
「フィレンツェから日帰りで行ける!トスカーナの小さな村10選」
「トスカーナのおうちごはん春夏編20レシピ」
「コロナ・ロックダウン緩和直後のイタリア・フィレンツェ記録写真集(モノクロ版)」
「コロナ・ロックダウン緩和直後のイタリア・フィレンツェ記録写真集(カラー版)」
「トスカーナのおうちごはん秋冬編20レシピ」
いずれも読み放題に入っています!