アミアータ山のサンタ・フィオーラ、上下の旧市街が楽しめる「イタリアの美しい村」

トスカーナ南部にあるトスカーナ州第二の山・アミアータ山(標高1738m)。シエナ県とグロッセート県に分かれていますが、グロッセート県側の村の1つが、この「サンタ・フィオーラ」です。クオリティやオスピタリティが良い村に与えられるイタリア・ツーリングクラブのオレンジフラッグ、そして2019年には「イタリアの最も美しい村」にも加盟した、見どころの多い村でもあります。

サンタ・フィオーラの中心に向かって車を走らせると、こんな風に島のようになった旧市街が見られます。旧市街の北東にあるこの大きな橋は、1800年代半ばに工事が行われた公共事業の1つ。この橋の旧市街よりにはエレベーターも設置され、下に通る州道ピティリアーノ=サンタ・フィオーラ線沿いの駐車場から上がってこられるようになっています(ピティリアーノまでは車で約50分)。

この橋を渡ると、旧市街の中心であるガリバルディ広場に出ます(下の写真奥が橋)。

サンタ・フィオーラは890年の記録にも残るとても古い村で、中世にはアルドブランデスキ家の伯爵領となり、その領地は現在のカスティリオーネ・ドルチャ、カステル・デル・ピアーノやアルチドッソを含む広大なものでした。1200年代にはトスカーナの重要地となり、シエナのギベッリーナ派(皇帝派)の拠点となり、反対勢力でありアミアータ山のもう1つの有力地アッバディア・サン・サルヴァトーレと対抗していたそう。1300年代後半にはシエナの支配下に置かれて力を急速に失い、1400年代中にはスフォルツァ家との婚姻。一時はグイード・スフォルツァが芸術家などを呼び復興を試みますが、1624年にはトスカーナ公国に組み込まれます。そんな歴史がつまったのがこの広場で、アルドブランデスキ家時代の塔2つ、そしてスフォルツァ家時代の館。現在はツーリストインフォメーションや鉱山博物館になっています。

広場の鉱山博物館のちょうど前に出ている道・カロリーナ通りは、狭いですがメインストリート。飲食店や雑貨屋さんなどが並び、一番奥にはサンタ・フィオーラいちの教会、聖フローラとルチッラ教会があります。12世紀建設のロマネスク=ゴシック様式の教会ですが、その見どころはなんと・・・ロッビア工房の彩色テラコッタです。それも1つや2つではなく、コレクションと呼べるほどの豊富さ。

洗礼盤の「キリストの洗礼」、説教壇の3シーン、十字架刑のキリスト、腰ひもの聖母・・・美術館のような教会に、ぜひ入ってみてください。

サンタ・フィオーラの旧市街は上下2つに分かれているもの特徴的。これまでに紹介したのが上の旧市街で、下の旧市街へは、この教会正面右側に続く道からアーチをくぐって下っていきます。下る前に必ず見て頂きたいのが、城壁からの絶景!

ここから見えるのが下の旧市街。スロープのような下り坂と階段、2パターンの道があります。短いですが、動画も撮ってみましたよ。

下り坂を下り、西方向にあるのが、下の旧市街の一番の見どころ・ぺスケリーア。

下り坂を下り、西方向にあるのが、下の旧市街の一番の見どころ・ぺスケリーア。13世紀頃から知られるこの池は、フィオーラ源泉所からの水をひいて元々はマスのいけすとして使われ、その後もスフォルツァ家の庭として使われていたそうです。実際、今も大きなマスがたくさんいました。入場料が1ユーロかかりますが、日陰も多くて清涼感があり、地元民や観光客の憩いの場になっています。中にはバールもありますので、ここで休憩も良いですね。

ペスケリアの水は東側に流れ、ここはかつての洗濯場でもありました。そんな洗濯場の右横にちょこっと経っているのが、雪の聖母教会。元々はペスケリアの水を必要としていた職人などが住んでいたエリアで、壁祭壇画のあった場所に15世紀に建設されました、中は質素でありながら17世紀のフレスコ画が今も残り、そして床には透明パネルが貼られ、下に流れる水が見えるようになっています。

ペスケリアの南と東側には、もう1つの旧市街が広がります。歴史的建築物や商店の多い上の旧市街に比べ、今も普通に人が住む日常が感じられる場所で、個人的にはこちらの散策のほうが楽しかったです。こんな風に家の前で読書するおじさんや、ご近所さんとおしゃべりするおばさんに「邪魔してごめんね」と心の中でつぶやきつつ、昔ながらの町並みを歩くのがたまりません!ほかにも地区の教会が2つ、かつてのユダヤ人のゲットー地区、そして市営のオーガニック菜園などもあります。

予想以上に広く、見ごたえのあるサンタ・フィオーラ。なかなか行きにくいのですが、サンタ・フィオーラ内にもホテルはB&B、またハイヤーサービスもあるので、(少なくとも日本では)マイナーなこの村を拠点にして動くのも面白いかも。あるいは、オルチャ渓谷エリアからもマレンマ凝灰岩の村からも約1時間なので、この2つのエリアに滞在中に行くか、オルチャ渓谷エリア→マレンマ地方へ移動の途中に寄っても良いですね。また、夏はトスカーナ南部の郷土料理「アクア・コッタ」の祭り、年末には村中をたいまつで照らす「フィアッコラータ」など、イベントも豊富にありますよ。ツーリストインフォメーションが充実してるのも、おススメの理由の1つ。たくさん写真をUPしましたので、下記のギャラリーもぜひクリックしてご覧ください。

ギャラリー(クリックすると拡大します)
基本情報

Santa Fiora Turismo(サンタ・フィオーラ観光)

【行き方】
近辺に鉄道駅はありません。Tiemme 社のバス20A55Aが通っていますが、比較的便利なのは両線が通るアッバディア・サン・サルヴァトーレオルチャ渓谷マレンマから日帰りで行くか、アミアータ山(シエナ県側グロッセート側)に滞在して周遊するのが良いでしょう。地元のハイヤーさんもいますので、行程のコーディネイトなどお問い合わせください。

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