ナポレオンのエルバ島の別荘「ヴィッラ・サン・マルティーノ」

エルバ島」と聞くと、「ナポレオン」を連想する方は多いと思います。とはいえ、ナポレオンがエルバ島に滞在したのはたったの299日=約10か月。1813年のライプツィヒの戦いに敗れ、翌年に3月末にはパリ陥落、4月にはフランスで王政が復活し、ナポレオンはエルバ島へ向かうことになった・・・のですが、ちょうど私たちがヴィッラ・サン・マルティーノに行った時に別料金でついてもらったガイドさんの話によると、ナポレオンの行き先候補は他にも2つ、コルシカ島(フランス)、コルフー島(ギリシャ)があり、ナポレオンはエルバ島を加えたこの3島から、エルバ島を選んだのです。近い将来の復活を考えた場合コルフは遠すぎる、コルシカは敵が多すぎる、一方エルバはフランスからも近く敵もいなさそう、という消去法だったそう。もちろんフランスから比べるとタダの小さい地中海の島ですが、ナポレオンはこの島の所有者=王として、この島に乗り込んだのです。

エルバ島には、ナポレオンのヴィッラが2つありますが、ポルトフェッライオ郊外・約7キロにあるこのサン・マルティーノは別荘。一方、住まいと執務を行なっていたのは、ポルトフェッライオ旧市街にあるムリーノの館。こちらを選んだのは、外観が豪華でいかにもヴィッラ!と思ったからなのですが、ガイドさんの話を聞くと、Top 写真の建物はナポレオン死後に建てられたもので、実際ナポレオンが建てたわけでも過ごしたわけでもないのです。ナポレオン時代のものは、入って左斜め前にあるチケット売り場がある建物=写真上、ここはかつての馬舎。

そしてその上に上がっていくと、なんともまぁ簡素な普通の家。ここがナポレオンが生前使っていた建物で、あまりの質素さにビックリ。ただしここは生活の場でも執務の場でもなく、あくまで別荘だから。とはいえ、いつでもポルトフェッライオが見られるように、わざわざこのサン・マルティーノに、そしてその中でも高台に作らせたというだけあって、家のテラスからは正面にポルトフェッライオが見えるのです。設計は建築家でカッラーラの美術アカデミー教授のパオロ・バリジーリ。

外観と同じく、中も豪華絢爛!ではないですが、上品で緻密なインテリアになっています。こちらはナポレオンの寝室・・・ベッド、ちっさ!!!思わずナポレオンの身長を調べてしまった私ですが、身長は168㎝。私とほぼ同じくらいでこのベッド・・・もちろんここに寝転べることはできなかったのですが、頭も足も両方ついてしまいそう。丸まって寝る人やったんかな?ちなみに、壁のフレスコ画はトリノの画家ヴィンチェンツォ・アントニオ・レヴェッリによるもの。

見どころの部屋は、まずこのエジプトの間。ナポレオンの数々の歴史の中でも、よくとりあげられるのが1798年のエジプト遠征。カイロを攻略しつつも、最終的には政治的に大きな成果は上げなかったものの、ロゼッタストーンなどの発見で文化的には大きな功績を残しました。カイロを攻略するまでの戦勝なのか、エジプトという古代文明をリアルで見た感嘆なのか?このエジプト遠征は15年近くたった当時のナポレオンの心に鮮明に残っていたのでしょう。エジプトの風景をただ描いたというだけでなく、柱の奥に見える遠景により、部屋が大きく見える効果もあるそうです。

もう1つは、食事の間とされていた通称「愛の絆の間」。ナポレオンは子供を授かることができなかったジョセフィーヌと離婚し、ハプスブルグ家のマリア・ルイーズと1810年に結婚、翌年に息子が生まれていました。しかし、ナポレオンがエルバ島に行った後も、マリア・ルイーズと息子はオーストリアに隠居し、しかも護衛監視役の伯爵と恋に落ちることに・・・そんなことを知る由もないナポレオンはマリア・ルイ―ザを待ちわび、リボンで結ばれる2羽のハトを自分と彼女に置き換えたのです。なんとも切なくてわびしい・・・

そして私がずっとナポレオンのものだと勘違いしていた、この立派な建物はデミドフ・ギャラリー。駐フィレンツェのロシア大使の息子で、ナポレオンの姪と結婚したアナトーリオ・デミドフが1851年(ナポレオン没後30年)に建設したものです。ナポレオンの熱烈な崇拝者で芸術保護者であったデミドフはここにナポレオン記念館を建設し、ポレオンとエルバ島を主題とした2つの重要な版画コレクション、そしてカサノーヴァの彫刻などを展示・・・しているはずが、この時は建物自体が修復中だったからか?版画の一部しかありませんでした。残念!!

※ちょっと感動した余談:訪れたのは2020年9月、観光客が戻ってきたとはいえ、まだまだコロナの影響が多い時期で、見学も人数限定の完全予約制。時間になるまでは門の外で待機だったのですが、時間前に係員と1人の女性が出てきました。女性はエルバ島の公式ガイドさんですが、コロナの影響で仕事が激減し、美術館の許可を得て、見学者の中から希望者に別料金でガイドをする、とのことだったのですが・・・彼女がその案内を終えるまでもなく、「私たちはお願いするわ!」と4人連れのグループが、そして私たちも、結局その回の見学者ほぼ全員がガイドをお願いすることに。皆が次々に手を挙げていくたびになんだか胸がジーン、そして感謝するガイドさんの姿にもジーン・・・まだまだ厳しい状況が続きますが、できる範囲で観光することで観光地に還元したいです。

ギャラリー(クリックすると拡大します)
基本情報

Villa di San Martino (トスカーナ州美術館ページ・イタリア語)
InfoElba の Villa di San Martino ページ(英語)
Portoferraio – Località San Martino
Tel : +39-0565-914688

2020年は夏季のみ、予約制で1時間おきの見学で毎回24人まで、前日までに下記電話番号に1日前まで電話すること。
火木土日・9:00 – 13:30&水金:14:00 – 18:30

【行き方】
ポルトフェッライオから車で約10分。CTT社のバス1番が夏季のみ運行しているようですので、サイトでご確認ください

【AMAZON KINDLEより、4冊の電子書籍を発行】

「フィレンツェから日帰りで行ける!トスカーナの小さな村10選」
「トスカーナのおうちごはん 春夏編20レシピ」
「コロナ・ロックダウン緩和直後のイタリア・フィレンツェ記録写真集(モノクロ版)」
「コロナ・ロックダウン緩和直後のイタリア・フィレンツェ記録写真集(カラー版)」

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