フィレンツェから簡単に行ける郊外の町は、シエナ、アレッツォ、ルッカ、ピサなどがありますが、もっと近くて意外な穴場がプラート。ぶっちゃけ、フィレンツェ周りの人からすると、プラートのイメージは「中国人だらけ(大きな中国人コミュニティがある)」、「ジッリだけ(フィレンツェ郊外屈指の超大型ショッピングセンター)」、「産業地帯(繊維業が盛ん)」くらいなんです。私はどっかでドゥオモと皇帝の城の写真を見て興味が湧いたのですが、実際、行ってみるととっても素敵な町!そして何よりも駅から旧市街もすぐでめちゃめちゃコンパクトに固まっているので、旅慣れていない人でも迷うこともなく、安心。観光客はほとんどおらず、イタリアの日常も垣間見ながら、ゆったりと散策できるんです。
プラート・ポルタ・セッラリオ門から南に出てまっすぐ行くと、すぐに噴水のある大きな広場に出ます。その左側にあるのが、このドゥオモ。うえ半分だけの緑&白の大理石ストライプ、透かし模様、そして珍しい外にある説教壇。茶色になっている大理石も、なんかデザインで計算されて入ってるかのようにも見えるるから不思議です。
正式名称は聖ステーファノ大聖堂。1211年の改築でロマネスク様式となり、その後、数世紀にかけて改築が行われていきました。後陣にはドゥオモの正式名称ともなっている、聖ステーファノと洗礼者ヨハネのフレスコ画がフィリッポ・リッピによって描かれています。しかし、プラート人にとって一番信仰深いのが、入ってすぐ左側にある「聖なる帯の礼拝堂」。聖トーマスが受け取ったマリア様の聖遺物の帯が、最後にはプラート人のミケーレ・ダゴマーリの手に渡り、のちにドゥオモに献上された、という伝説が残っているのです。祭壇の下にはその帯が、周りには14世紀の画家・ガッデイのフレスコ画が。礼拝堂は柵で囲まれていてよく見えませんが、祈りを捧げる人が後を絶たず、プラート人にとって特別な場所であるのがよく分かりました。ドゥオモ右隣、鐘楼の下にはドゥオモ付属美術館があり、元々外の説教壇にあったドナテッロのレリーフや、フィリッピ―ノ・リッピなどの作品が展示されています。
そこから更に直進して、マッツォ―二通りへ、左右にはバールや服や雑貨などのショップが並ぶ目抜き通りです。少し行くと出てくるのがコムーネ広場、その名の通り市役所や、現在はミュージアムとなっているプレトリオ宮、柱廊が素敵なカフェなどがあります。
更に直進し、サン・フランチェスコ広場まで出たら、左手の教会奥にあるのが皇帝の城。
お城と言っても煌びやかなお城ではなく、城塞。13世紀に神聖ローマ帝国・フリードリッヒ2世に建てられたものです。私が入った2018年4月半ばは工事中で中庭しか入れませんでしたが、2018年5月半ばには工事が終わり城塞の上を歩くこともできるはずです。春は黄色い花が一面に咲いて、とてもキレイでした。
プラートと言えば、ハードビスコッティのカントゥッチ―二でも有名です。老舗の有名店「アントニオ・マッテイ」はもちろんですが、他にも昔ながらの個人商店にカントゥッチ―二が並んでいるので、食べ比べしてみても面白いですね。その他のお土産は、ちょうどアントニオ・マッテイの斜め前にある「カルミニャーノワイン生産者組合」のショップが便利。
プラート県屈指のワイン生産地のカルミニャーノのワインの他、地ビール、カントゥッチ―二各種、ソープなど、プラート名産品がずらりと揃いますよ。
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基本情報
旧市街への最寄り駅は、中央駅でなく、Prato Porta Serraglio(プラート・セッラリオ門)そこからは南側にドゥオモ、プレトリオ宮、皇帝の城など見所がぎゅっと詰まっています。