マリアーノ・イン・トスカーナから車を少し走らせると、オリーブ畑の中に見える白い岩・・・いや、これは岩ではなく、廃墟となった中世の修道院、サン・ブルーツィオ修道院。数か月前に偶然フェイスブックに流れてきた画像を見て、これは絶対行きたい!と思いを馳せ、この夏バカンス中に行くことができたのです。まずは修道院のある県道逆側の駐車場に車を停め、県道を渡り、そこから舗装なしの道を5分くらい歩きます。
近づいてゆくと、こんな感じ。この写真ではまだ小さく見えますが
実際に入ってみると、こんな感じ。教会は身廊が完全になくなり、翼廊と後陣の構造は残るものの、屋根や壁も損壊して放置された状態になっています。丸屋根があっただろう場所から見上げると、こんな感じ。
この修道院の歴史はミステリーに包まれたままですが、最初の記録は1216年の教皇勅書に残っています。おそらく10世紀に建立が始まった、ベネディクト派の修道院とされていますが、植物や人間の彫刻が見られることから、18~19世紀には異教の建物と推測されたこともあったとか。それらは今も、わずかに残った柱頭に見ることができます。建立時期が重なる、同じくベネディクト派の修道院、アッバディアのサン・サルヴァトーレ修道院やサンタンティモの修道院にもよく似た彫刻があります。
後姿はこんな感じ。後陣の外観は完璧に残っています。ミステリーはその建立だけでなく、どのようにして廃墟になっていったのか?私もいろいろと検索をしていましたが、今に至る過程については触れられているものはありませんでした(これはまた、おばさんに聞いてみないと!)。
その残骸の大きさから、おそらくファサードがあっただろう場所に立ってみる。800年以上も昔にこのオリーブ畑があったかどうかは分かりませんが、そこからオリーブ並木の一本道が・・・この道を歩いて、当時の修道士や信者は修道院に入って来たのかと思うと、なんだか感慨深いですね。
動画も撮ってみましたので、ぜひ、この遺構を訪れた気分に浸ってみて下さい。そしてマレンマを訪れた際には、立ち寄ってみて下さいね。
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基本情報
【行き方】
県道サンタンドレア沿い、マリアーノ・イン・トスカーナの町より車で5分。
オープンスペースなのでいつでも見られますが、夜間、ライトアップがあるかどうかは分かりません。道の向こうの駐車場より5分くらい歩きます。