アレッツォ郊外、世界一のモザイク教会を夢見て

イタリアでは有名な教会はたくさんありますが、アレッツォ郊外の小さな町に唯一無二のプロジェクトを進めている教会があります。それはインディカトーレのスピリト・サント教会。1997年に取り壊しの危機にあった教会を救うため、教区司祭とこの地に住むアーティストであるアンドレイ―ナがアートでこの教会をリフォームすることに着手し、そのプロジェクトは30年近く経った今もなお、続いているのです! つまり、サグラダ・ファミリアのイタリア版!? アンドレイ―ナというたった1人のアーティストが始めたものなのですが、時が経つにつれ、プロジェクトは更に大きなものに変容していきます。

当初にアンドレイ―ナが制作したのは、「ペンテコステ(聖霊降臨:イエスの復活・昇天後、集まって祈っていた120人の信徒たちの上に神からの聖霊が降ったという新約聖書にあるエピソードの1つ)」やその上にある「世界創造」のガラス絵、ファサードの「聖ヨハネの黙示録」、そして2010年には再利用素材を使った240㎡のモザイク「エゼキエルの幻視」を完成させます。その後そのモザイクは、世界遺産のモザイクの町・ラヴェンナ モザイク・ミュージアムの国際資料センターに登録され、アンドレイ―ナが中心となって結成されたアソシエーションを通じてこの教会を「世界一のモザイクの教会」にするプロジェクトとそのプロモーションを行っています。

こちらがそのプロジェクトの完成予想図。

しかしこの完成を見るまでは、まだまだ膨大な作業が必要です。世界各国から提供される素材を管理してモザイク用に切断したり、小さなモチーフのモザイクの数々の管理と貼り付けなど、通常はアンドレイ―ナがほぼ1人でやっているから。しかし作業をボランティアで行うために世界中からやってくるアーチストを受け入れたり、また寄付を頂く代わりに見学ツアーや体験プランを行っています(詳細は記事最後の基本情報をご覧ください)

アレッツォからバスにより、最寄りのバス停を降りてから徒歩5分。教会の全体が見えてきた時にはそれほのどインパクトではなかったのですが、近づいてゆくと教会前の地面がカラフルに彩られているのが分かります。

そこからアンドレイ―ナと一緒に教会に入ります。

TOP写真に醸し出ているように、包み込むような優しさを持つアンドレイ―ナ。しかし実際は度重なる問題に立ち向かいながら、唯一無二のプロジェクトを遂行しています。「実は私がお給料をもらったのって、祭壇画やガラスの絵などの最初の方だけなのよ」・・・ではどうやって生計を立てているの? 材料費はどうしてるの? と疑問は次々と出てくるのですが、現在の収入は個人や企業などからの寄付、このプロジェクト以外のアート作品やイベントで。今までに世界各国のメディアに取り上げられたおかげで、材料も全て各メーカーの廃番商品や売れ残りを寄付してもらっているそう。単にお金をかけた芸術作品でなく、まさに現代社会に欠かせない持続可能なアートという意味でも注目すべきプロジェクトであり、また偶然に集まった素材だけで作るため、そこから発想や想像力が生まれ、かけがいのない面白い作品が出来上がるのだとか。

また材料だけでなく、すでに各国の学校やアソシエーションで作られた小さなモザイクもたくさん送られてきます。

作業に関しては現在、アンドレイ―ナと住み込みでボランティアをしているドイツ人の学生、通っているイタリア人の若い女性ですが、春~秋にかけては世界各国からボランティアもやってきます。その数は欧州各国や南米、アジアからの累計400人のアーチストと、累計1000人の一般ボランティア! とはいえ3000㎡の計画から比べると、まだ3分の1程度の完成にとどまっており、今もなお寄付やボランティアを募ってる状況です。

そんな大変な中でも、アンドレイ―ナが嬉しそうに見せてくれたのは像のモザイク。

「この象のモザイクはインドから来たの。いろんな国から届く半完成品のものにはお国柄が出るのよ」。単なる芸術作品のモザイク、というだけでなく、ここは世界のいろんな人や思想、文化が集まる1つのコミュニティ。実際に見学ツアーなどの体験プログラムに来られる方、そして偶然そこに居合わせるボランティアの方とのふれあいも貴重な国際交流の体験になるでしょう。

そういう私も見学の後、その週末に行われRるアレッツォのバレンタインイベントに使う小道具をボランティアの方と共に制作したのですが、前述のドイツ人学生、近所のおじさん・おばさん、アンドレイ―ナのご両親などとおしゃべりしながら楽しいひと時を過ごしました。きっと近所だったら、時間があるたびにボランティアに行ってしまいそうなほど(笑)。

使用している発泡スチロールも廃材使用!

 

そして近年は学校の課外授業やアート関係の留学生を受け入れるだけでなく、芸術制作活動と精神の関係に着眼し、心身に障害を持つ方への芸術セラピーとして積極的に活用しようとしています。世界中から来る違う人種・文化というだけでなく、このモザイクのように多様な人々を受け入れ、誰もが芸術を通じて1つになれるインクルージブの精神を基礎にした活動に発展。

たった1人アーチストの夢がここに関わる全ての人の夢となり、現存の「ヨーロッパいち大きなモザイクの教会」は、「世界いち大きなモザイクの教会」になるべく、今日もコツコツと作業が行われています。そんな夢の途中の教会をぜひ見たい、一緒に体験したい、という方はぜひプログラムに参加することができます。

トスカ―ナ自由自在では予約制の教会見学や教会見学+1日モザイク体験(ランチ付き、作ったものは持ち帰り)、住み込みボランティアの通訳アテンドやサポートを行います。詳しくは下記、「基本情報」にプログラムをご覧ください。寄付をしてくださる企業さまもお声がけください。

ギャラリー(クリックすると拡大します)
基本情報

Il Mosaico di Andreina
Località Indicatore zona I n.7, Arezzo 

プログラム
ガイド付き教会見学
1人・10ユーロ(アレッツォや村他の村のアテンドと組み合わせた通訳アテンド1日+190ユーロ)
通訳が同行しない場合は英語で対応可能

ガイド付き教会見学+モザイク体験(1日・ランチ付き・制作した作品持ち帰り)
1人・100ユーロ(通訳アテンド+150ユーロ)

作業ボランティア
宿泊・食事代として1日1人・40ユーロ(初日の通訳サポート半日+90ユーロ)

※1人以上の場合、プログラム+小さな村巡り、アレッツォでの宿泊などの滞在プランは、お問い合わせください

愛すべき、美しい30の村
飾らない、ありのままのイタリアへ!

人口や景観など、「イタリアの最も美しい村」協会が設けた厳しい基準を満たした村だけが加盟を認められる「イタリアの最も美しい村」。その中から、イタリア在住20年以上、トスカーナ州の田舎町に暮らす著者が、“忘れられない”30の村をセレクト。古きよきものが息づく小さな村の魅力を、旅先での出会いやエピソードをちりばめながら綴る。

本の詳細はこちら

 

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