サン・サルヴィのアンドレア・デル・サルトの「最後の晩餐」、サンタッポローニアのアンドレア・ダ・カスターニョの「最後の晩餐」、に続く、フィレンツェの無料で見られる「最後の晩餐」3つ目は、ペルジーノ作、フリーニョ編です。こちらはSMN駅やサン・ロレンツォ教会や中央市場にも近い便利な場所にあり、門構えも立派なので他の2つと比べても一番行きやすいです。そして何よりも、ヴェロッキオ工房でダ・ヴィンチ、ボッティチェッリと腕を競い、フィレンツェ、ローマ、ペルージャと活躍して自身の工房を設立したペルジーノの作とあれば、行かないわけにはいきません。
元々は1300年代に設立された修道院で、1400年代にここを使用していたフランチェスコ修道会派てb修道女たちが来た町の名前から、フリーニョ(現フォリーニョ)と呼ばれています。その後、貴族の女性がここに入ったことから、メディチ家などの有力家系からの財政補助もあり、その時期に修道院の装飾を委託されていたのが、ペルジーノ工房なのでした。この修道院も外部からの出入りは禁止だったため、この「最後の晩餐」が公に出たのは1800年に入ってから。当初は、ペルジーノの弟子であるラファエッロ作とされていたそうですが、その後の調査で1495年のペルジーノの作品とされています。
同じ最後の晩餐でも、作者が違うせいか、サン・サルヴィともサンタッポローニアとも細かい描写が違っているのが面白いですね。例えばテーブルが一直線なのか、コの地型なのか?コの字型のテーブル、そして上部に広がる田園風景は、サンマルコ美術館にあるギルランダイオの「最後の晩餐」と同じだそう。奥に広がる風景は実際の食堂スペースから本当に空間が開けられたような遠近法、そしてペルジーノ独特の青のぼかしによって霧がかった表現となっています。また全体の額縁は、フラ・アンジェリコなど同年代の画家がよく使用した、当時のフィレンツェ絵画ではよく見られるもの。大理石に施された古代的な柄に、聖人が描かれた円が挿入されています。
最後の晩餐の他にも、フリーニョ修道院の他の部屋にあった美術作品や、他の教会にあったペルジーノ派の絵画が展示されています。
最後の晩餐はここに来るまでにいくつもの美術館を渡り歩き、1996年のアルノ川氾濫時には被害を受けた他の美術作品とともに保存され、現在のような美術館に整えられたのは1990年になってからだそう。こうして500年以上の間にいろんな試練があった作品も元の場所に収められると、全てがしっくりと調和した素晴らしい空間となりますね。
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基本情報
Cenacolo del Fuligno
Via Faenza 40, Firenze
Tel:+39-055-5381123
火と、毎月第1日曜のみ開館
いずれも時間は8:30-13:30
入場無料(入ってすぐのカウンターで、来場者名簿にサインしてください)