エルバ島は地中海・フランスとイタリアの間にある要所であり、そして石や鉱物などの資源も豊富なことから、いつも攻略の対象となってきました。起伏に富む地形の中、標高394mの小高い山の上にあるのが、このヴォルテッライオ要塞。1999年にトスカーナ群島国立公園が買収し、2013年に修復がスタート、2017年7月には登山路整備を含むすべての修復が完成し、一般公開されています。下のトスカーナ群島国立公園の修復ドキュメンタリー動画、この最後に出てくる要塞とそのバックの風景を見た時から、要塞好きの私にとって、実は今回のエルバ島バカンス最大の楽しみとなっていました。
自力で要塞へ行くには、SP(県道)32号線沿いにある駐車場で車を停めます。駐車スペースは5台ほどなので、ハイシーズンや夕焼けの時間帯はもしかしたら混むかも?そこから標識に従って、トレッキングコースを上って約40分。
3年前に整備が行われ木枠のついた階段も一部ありますが、結構石がゴロゴロしているので、スポーツ系サンダルだと厳しいかも。とがった石や雑草に触れたり、足に砂や小石が中に入ってくので、しっかりとした運動靴・トレッキング用の靴がベターです。
パッと見ただけではコースがあるのかないのか分からないほど?ただ石がゴロゴロしているだけのようにも見えますが、ある石を利用してうまく階段状にしてあります。勾配が急な箇所は手すりがありますが、歩きなれていない人は結構大変かも?休みながら?、無理せずにゆっくり上りましょう。
8割くらい上ったところにある城壁。あとで聞いた要塞見学のガイドさんの話では、要塞が攻略されないように作られてあるとしても、要塞はまさに最後の砦。要塞に来る手前で止めておくための城壁です。実際にヴォルテッライオ要塞は、長い歴史の中でトルコ海賊から一度も攻略されたことがないそう。この横にはかつての聖レオナルド教会があり、第一展望台ともいえるパノラマテラスとなっています。
ここまでくれば、もう少し!!
2020年のコロナ禍の夏は、要塞入口でガイドさんが待っていて、入場希望の人が数人集まればそこで直接支払いをし、入場&ガイド15分程度をしてもらえました。もちろんネットなどで調べて分かることも多いですが、見ながらの説明は、やはり理解度が全然違って本当に楽しかったです。
要塞の基礎はエトルリア時代にまでさかのぼりますが、今の原型は1281年のピサ共和国時代の増築によるもの。その後、1440年に増強され、1544年と1554年には、エルバ人はここで長い籠城に耐え抜きました。上ってみるとよく分かりますが、西側にある他の要塞とも交信ができ、更に、すぐ前に見えるポルトフェッライオを始め、エルバ島ほぼ全体が見わたせる好立地でした。ちなみにうちの次男が「他の要塞のように牢獄にはならなかったんですか?」と聞くと、答えは「牢獄にリフォームする資材を運んだり、看守などの人が上ってくる労力が割に合わないから、牢獄にはなりませんでした」ということでした!
たっぷり歴史に浸った後は、パノラマを堪能・・・美しすぎて、声が出ません。要塞見学は20時までだったので、夕焼けの絶景を狙って最後の時間帯にわざわざやってきた甲斐がありました。降りる時間&宿に車で帰る時間も考えて下山しまたが、この後、更に空は真っ赤に染まり・・・私たちが下山中に上ってきていた人は、それはそれは素晴らしい日の入りが眺められたと思います。上って本当に良かった、一生忘れらない風景となりました。
ギャラリー(クリックすると拡大します)
基本情報
トスカーナ群島国立公園サイト・ヴォルテッライオ要塞見学ページ(イタリア語のみ)
麓までのトレッキングはいつでも可能。
2020年9月では、簡単なガイド付き見学が大人8ユーロ、またはガイド付きトレッキングやポルトフェッライオからバス&トレッキングなど、車がなくても参加できるプログラムもあります。2020年はかなりイレギュラーでしたので、行かれる際に上記リンクをご確認ください。県道沿いの駐車場からは上りで40分、歩きやすい服装と水、また季節や時間帯によっては上着を持参してくださいね。
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