ボリフィレンツェ、特に旧市街の南側にはたくさんの庭園があります。ピッティ宮殿のボーボリ庭園、先日ご紹介したバルディーニ庭園、そしてバラ庭園、職人市で有名なコルシーニ庭園などなど・・・そして、季節限定ゆえに前述の庭園よりはややマイナーかもしれませんが、ミケランジェロ公園を挟んでバラ庭園の反対側にあるのが、このアイリス庭園です。通常は4月25日(イタリアでは解放記念日の祝日)から5月20日の開園なのですが、今年はコロナ規制の影響で5月2日から。お天気が良かったこともあり、お出かけとこのアイリスを待ちわびていた多くの方が訪れていました(とはいえ、地元民だけなので、超ゆったりですが)。
本来の入口は、ミケランジェロ広場すぐ脇に門があり、ここから階段で下っていくのですが、コロナ規制で散策順路が決まっており、この出入り口は出口専門で入れず。その下の、通常であれば車いすやベビーカーの人向けの出入り口からしか入れなくなっていました。
順路もけっこう細かく決まっており、入口で地図が配布されます。ただこれがなくても入れない場所は赤白のテープが張られており、間違うことはありません。
歩いていると、こんな風に「2019年フィレンツェ賞出品のアイリス」や「コンクールに出品または賞を受賞したアイリス」、などの看板を見ることができます。そう、このアイリス庭園はもともとフィレンツェ市により、アイリス国際コンクール開催のために造られた庭園なのです。それはもう1954年のことなので、もう70年近い歴史を誇ることになります。
しかし現在はイタリア・アイリス協会がこの庭園の管理の他、ガイド、交配の講座など様々な活動を行っております。私が訪問した時も、花壇の雑草を抜いている方た、1つ1つのアイリスの様子を観察しては記録する方などが見られました。
トスカーナの田舎では、青紫のものが自生?どこかの庭から種が飛んだ?のがたくさん道沿いに生えているのですが、ここでは世界各国の品種が勢ぞろい。色はもちろん、よく見ると形も微妙に違っているよう。色に関しては1色でなく数色をもつ品種もあり、その色の組み合わせやグラデーションにうっとり・・・美しい、きれい、など、形容する言葉はたくさんありますが、「妖艶」が私の中でのぴったりの形容詞。それに魅せられて?寄ってくる、たくさんの虫が見られました。
下の方にある池では、日本の品種が見られます。
平日だったこともありますが、ビジターの大半はお年寄り(笑)。アップダウンも結構ありますが、美しい花や景色を見られるから何のその?また日陰にはいくつかのベンチもあるので、みなさん休憩しながらマイペースで周っていました。そして、スマホだけでなくプロ?のカメラを向ける方も。
そしてこの男の子たちはなんと12歳!たまたまですが、球根などが売っている屋台のおばさんと会話していたのを聞いていると、「今日はショーペロ(ストライキ)で学校なくなったから、自転車でここまで来たんだよ!」、「あら~、いいことをしたわね!」と、そんな会話にもほっこり。
そしてアイリス以外にも、たくさんの花があちらこちらに植えられているので、花が好きな方にはたまらない空間!写真だけでなく、スケッチをされる方は1日でも足りないくらいかもしれません。
そしてフィレンツェ好きの方は、このアイリスの形で「フィレンツェの紋章」を思い浮かべる方も多いと思います。
Giglioを訳すと百合になり、百合の紋章、とも呼ばれておりますが、元々このGiglioは百合を指していたわけではありません。中世のフィレンツェ共和国当時、アルノ川沿いの平地に咲いていた薄く青みがかった白いアイリスのことを、その色からトスカーナでは「Ghiaccio=氷」と呼んでいました。それがのちに「Giaggiolo」となり、Giglioとなったそうです。当初、フィレンツェの旗として赤地に白のアイリスが用いられてきましたが、1266~1267年に皇帝派がフィレンツェから追放された際、勝利した教皇派が同じアイリスでも白地に赤のアイリスを用い、今に至るそうです。
そんなフィレンツェの歴史ともゆかり深いアイリスとその庭園、4月末~5月に来られる方は、ぜひ訪問してみてくださいね。
ギャラリー(クリックすると拡大します)
基本情報
Giardino dell’Iris
Viale Michelangiolo, 82, Viale Giuseppe Poggi, 3/C
Tel : +39-055-483112
例年は4月25日~5月20日
毎日開園、10:00‐18:00
日曜日11時~と16時~、ガイド付き散策会もあり(1人5ユーロ)※2021年5月現在
交配の講座や学校・団体の遠足でのガイド付きツアーは年間通して行われているようです。視察や研究の方でコーディネイト・通訳が必要な方は、ぜひお問い合わせください。
【行き方】
フィレンツェ市バス12番または13番でミケランジェロ広場下車すぐ
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愛すべき、美しい30の村
飾らない、ありのままのイタリアへ!人口や景観など、「イタリアの最も美しい村」協会が設けた厳しい基準を満たした村だけが加盟を認められる「イタリアの最も美しい村」。その中から、イタリア在住20年以上、トスカーナ州の田舎町に暮らす著者が、“忘れられない”30の村をセレクト。古きよきものが息づく小さな村の魅力を、旅先での出会いやエピソードをちりばめながら綴る。
本の詳細はこちら
「フィレンツェから日帰りで行ける!トスカーナの小さな村10選」
「トスカーナのおうちごはん春夏編20レシピ」
「コロナ・ロックダウン緩和直後のイタリア・フィレンツェ記録写真集(モノクロ版)」
「コロナ・ロックダウン緩和直後のイタリア・フィレンツェ記録写真集(カラー版)」
「トスカーナのおうちごはん秋冬編20レシピ」
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