フィレンツェ北部ボルゴ・サン・ロレンツォへ、若きジョットの聖母を詣でる

フィレンツェ県北部のムジェッロ地方、その中心的な町がボルゴ・サン・ロレンツォ。フィレンツェからは西回り、東回りの2本の直通電車が出ており、おらが村からも電車・車で20分ほど。大きな病院、スーパー、プールなども充実しているので、私にとっては生活圏の町でもあります。旧市街は14世紀の門や城壁の一部が残り、都市としての活気もあるので、フィレンツェ以外の観光地されていない中都市を見てみたい方には最適の町とも言えます。

こちらが目抜き通りの1つ、奥に見えるのは町のシンボルでもある時計の塔です。「Centro commerciale naturale」とは、直訳すると自然のショッピングセンター。郊外のショッピングセンターのような1つの大きな施設でなく、昔ながらの個人商店が並ぶ道・区画などをこう呼び、保持に寄与するようにこういう呼び名を付けて啓蒙している町がたくさんあります。

さて、日常生活でいつも行っているこの町に、なぜ時間を取って寄るのかというと・・・少し前に、この町の教会にすごいものがあることを知ったのです。2,3回は入ったことあるのに、全く知りませんでした。教会はというと、この町の名前にもなっているサン・ロレンツォ教会、旧市街のど真ん中にあります。

934年にすでに教会の記録がありますが、現在の教会が建設されたのは12~13世紀頃の3身廊の教会です。祭壇にはこの町の近代芸術家ガレリオ・キーニの十字架像などがありますが、目的はこれではありません。なんと、この町の隣町・ヴィッキオ出身のルネサンスの先駆けとなる偉人・ジョットの板絵の一部が展示されているのです。

作品は祭壇右側、右側の身廊との柱に掲げられています。この板絵は、20世紀初頭までサン・ロレンツォ教会の前にあるサントモボーノ祈禱所の祭壇横にありました。真っ黒に汚れたまま放置されていたもの。その後1966年、管理局がサン・ロレンツォ教会の司祭館で発見し、2年後にはフィレンツェのフリーニョの最後の晩餐のある場所に移動され、修復センターでの修復ののち、現在の場所に1987年に戻されました。修復中に技術的にジョットの作品に近いと多くの研究者の同意を得、現在ではジョットの作品であるとほぼ確定されているようです。2018年には時の経過とともに積もった埃を除去し、特殊な包みで外部からの汚れを防ぐ加工を行い、この町で祝われていたジョット生誕750年記念イベント内で返還されました。

板絵は聖母子像なのですが、残っているのは聖母の部分のみ。聖母の右頬にはキリストの手が残っています。1290年頃、ジョット25才頃の作品ですが、1つの光源で影を表現するなど、すでにその才能が顕著に表れています。ジョットの人物表現というと、横長の力強い目の表現がとても印象的なのですが、この聖母の目は同じ形をしているものの、他の聖母に比べとても穏やかな雰囲気が漂っています。ジョットの作品といえばフィレンツェのウフィッツィ美術館やサンタ・クローチェ教会、そしてアッシジのサン・フランチェスコ大聖堂にパドヴァのスクロヴェーニ礼拝堂などが有名ですが、この作品は若年期の作品、そして数少ない板絵であり、何よりも誕生から幼年時代を過ごしたムジェッロの地に残るただ1つの作品してとても貴重なもの。この町、このエリアに来られる方は、必見です。

旧市街にはミシュランのレストランあり、またイタリアどこもそうですが、田舎町なのにオシャレなお店もけっこうあります。火曜の午前は旧市街周辺でたくさんの市もたち、市民の生活が垣間見え、また前述のガレリオ・キーニを始めとした一族のキーニ博物館もあります。

ギャラリー(クリックすると拡大します)
基本情報

Pieve di San Lorenzo
Via Cocchi 4, Borgo San Lorenzo

【行き方】
フィレンツェから直通電車(西回り、in via Vaglia ヴァリア経由)で約40分。電車に乘り方などについてはこちらをご覧下さい。ボルゴ・サン・ロレンツォ駅から旧市街までは約15分です。

おらが村の滞在中や水車小屋粉ひき見学トリュフ狩りの帰りにふらりと訪れるのも良いですね。また、フィレンツェからこの町を通る路線では、アルベルゴ・ディフーゾのあるパラッツォーロ・スル・セーニオや、栗祭りで有名なマッラーディ、その先ロマーニャの町でも「イタリアの美しい村」ブリジゲッラや、冬季の町ファエンツァなども。バスで「イタリアの美しい村」スカルペリーアに行くことも可能。あまり知られていない地域ですが、ちょっとトスカーナっぽくない雄々しい山の自然も豊かなゾーンです。

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