キアンティで1893年創業!パスタ工房ファッブリ・ミュージアム見学

ミュージアムと言えば芸術、キアンティと言えばワイン。でも、ストラーダ・イン・キアンティにあるミュージアムはどちらでもありません。それはパスタのミュージアム。創業は19世紀末の1893年、つまり130年の歴史あるパスタ工房ファッブリの社内ミュージアムです。芸術のミュージアムも好きだけれど、産業ミュージアムやちょっと変わったミュージアムが大好きな私は行く前からかなり興奮(笑)。

ストラーダ・イン・キアンティはフィレンツェから直通バスで約40分。「同じ家族、同じ広場、同じパスタ」とサイトにあるように、創業から今まで同じ広場で5代目を迎えるファッブリですが、バスを降りて徒歩1分という近さなのに前を通り過ぎてしまったほど、とても小さな入り口です

迎えてくれたのは、広報担当の若い女性・マッダレーナさん(TOP写真)。ファッブリ社の歴史から、使用する小麦や粉の違い、そしてパスタ・アルティジャナーレ(職人が作る昔ながらのパスタ)の製法を話してくださいます。時折その場を通りかかるのは、4代目のジョヴァンニさん(TOP写真)。現在は引退して息子さんが継いでいますが、16歳で入った家族経営のこの会社には今でもなくてはならない存在です。「僕たちは家族経営だけれど、僕たちのパスタと情熱に共感し、遠方からここに移住して就職してくれたマッダレーナやピエール(もう1人の広報)がファッブリの大きな力になっています」と入社2年目のマッダレーナの肩をぐっと抱き寄せます。従業員は10人ほどですが、みなが同じ信念と情熱をもって伝統を継承してゆく・・・イタリアの古き良き小さな会社の新しいモデルがここにあるよう・・・!

ここにはジョヴァンニが趣味で集めたかつての農耕器具やパスタ製造の器具、そして説明するための各種小麦やパスタが所狭しと並んでいます。それらを使って説明してくれるのでとても分かりやすく、パスタの材料である小麦、そしてひき方、それによって変わる成分などなど、日本でもすっかりおなじみになったパスタでも知らないことがこんなにあったんだ!と目から鱗の連続です。

粉をひき、水と混ぜてコネコネ・・・実演を交えて説明してくれるマッダレーナさん。モチッとしたこの物体の正体は、ぜひ訪問の時に答え合わせしてみてください。

日本ではスパゲッティばかりですが、イタリアではショートパスタの種類も多彩。その中の1つ、「空飛ぶ円盤」の形状の誕生秘話も!写真はこの形状のブロンズ型をファッブリ社が購入した際のインボイスです。

見学ツアーには2種類あり、短いツアーはこのミュージアムでの説明で終了。おススメはやはり、実際に工房に入ってファッブリが実際にパスタを作る行程を見せてもらえるフルツアー。ミュージアムから奥の扉を開けて製造スペースに入ると、そのむわっ!とくる小麦の香りにテンションが上げ上げに・・・

2階へ上がって一番最初のホールでは、乾燥が終わったパスタをベルトコンベアーに乗せ、下の袋詰め作業へと送ります。それからパスタ生地をこねた後にブロンズ型でパスタを成形し、上の写真のネット付きパネルに置いてゆく部屋へ(※見学ツアーの時間により、作業全てが見られないこともあります)。

そして最も大事、と言っても過言でないのが、この乾燥行程。乾燥庫は38度以下、かつては屋外で自然乾燥だった時代とほぼ同じ環境の中で、形状により72時間~144時間(6日!!)かけてゆっくりと乾燥していきます。

ファッブリ社では形状や小麦の種類などの掛け合わせで70種類ほどの自社製品がありますが、こだわりの小麦生産社から委託を受けてのパスタ製造も行っています。その相手はイタリア各地に20社以上! どこもこだわりの古代小麦で、その大事に育てた小麦をしっかりとパスタにしてくれる所を探してファッブリ社にたどりついたのでしょう。現在、某有名ワイナリーが小麦生産を行って自社ブランドパスタを作るプロジェクトがあり、現在ファッブリ社と遂行中だとか・・・これも楽しみです。

見学ツアーはパンフレットとパスタ1袋のお土産付き。もちろんもっと買いたいという方は追加で購入も可能です。私も訪問時にいろんな粉のいろんな形状を4袋持ち帰りましたが、袋を開けた時の小麦の香りは工場生産の一般的なパスタではありえないもの。シンプルなソースで頂きましたが、食感、味はもちろんのこと、いつもより多めに食べても重さを感じません。息子たちも一口食べて、「何これ!パスタが美味しい!!」と大絶賛。私たちはトゥミニアの全粒粉パスタでしたが、以前に全粒粉のパスタを食べて味や食感がイマイチ好きになれなかった私も、これならもっと買えばよかった!と後悔したほど。

フィレンツェからは直通バスでたったの40分、グレーヴェ・イン・キアンティと同じ路線でグレーヴェへもここからたったの15分なので、フィレンツェから路線バスを使っての1日ツアーにもぴったりです。ワイナリー訪問を加えるとパスタ×ワインを深く知ることができる特別な1日になることでしょう。更にお時間がある方は、宿もある料理教室へどうぞ💜

キアンティの美しい村、元シェフの料理教室とアパート滞在

ギャラリー(クリックすると拡大します)
基本情報

Pastificio Artigiano Fabbri
Piazza Emilio Landi 18, Greve in Chianti (fraz. Strada in Chianti)
Tel :  +39 055 858013

ミュージアム
※完全予約制のガイド付き見学のみ
※最低2名~

◎ ミニツアー(1時間)
小麦の精製から製品までの流れ、古代小麦と近代小麦の違い、古城パスタと職人パスタの違いなど、デモを加えた説明と過去の製造機械などミュージアムの見学、お土産付き

◎ フルツアー(1時間半)
ミニツアーの内容+1950年代の機械を使ったパスタ製造と乾燥庫の見学、お土産付き

フィレンツェ発着の日本語通訳付き・バス半日ツアー
フィレンツェ9時集合・13時半着
2人の場合の1人料金・110ユーロ(ミュージアムフルツアー、バス代含む)

フィレンツェ発着の日本語通訳付き・バス1日ツアー
フィレンツェ8時または9時集合・17時頃着、ミュージアムフルツアーとグレーヴェインキアンティ観光
2人の場合の1人料金・180ユーロ(ミュージアムツアー、バス代含む)

グレーヴェ・イン・キアンティ、黒鶏でお馴染みのキアンティ・クラッシコの里

※ 1名の場合や2名以上、ハイヤー使用、ワイナリー小さな村の訪問、料理教室と宿泊など、アレンジをご希望の場合はお問い合わせください。

お問合せ&お申し込みは、こちら

愛すべき、美しい30の村
飾らない、ありのままのイタリアへ!

人口や景観など、「イタリアの最も美しい村」協会が設けた厳しい基準を満たした村だけが加盟を認められる「イタリアの最も美しい村」。その中から、イタリア在住20年以上、トスカーナ州の田舎町に暮らす著者が、“忘れられない”30の村をセレクト。古きよきものが息づく小さな村の魅力を、旅先での出会いやエピソードをちりばめながら綴る。

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