パッツィ家の陰謀とブランカッチ礼拝堂、歴史と美術にどっぷり浸る特別イベント

で普段は用事か仕事でしか行かないフィレンツェですが、たまに自分の趣味のためだけに行くのは本当に楽しく気分転換になりますね。さすがにほとんどの美術館や教会は行っているので、何か理由がないと行くことはないのですが、ここ数日、2つの特別イベントに参加しました! 私は歴史好きからイタリア好きになったので、フィレンツェにいつでも行けること自体がすごいことであり、こんなイベントに参加できることに改めて興奮してしまったのでした・・・。

1つ目は、ヴェッキオ宮殿で1日限りの特別イベント。日にちは4月26日・・・今から545年前の1478年4月26日に起こった「パッツィ家の陰謀」について、新たな資料が見つかったことを機に、その資料を劇仕立てで説明してくれるというものです。しかも無料!

パッツィ家の陰謀は、当時のフィレンツェ共和国でメディチ家と敵対関係にあったパッツィ家が、ドゥオモで行われるイースターのミサの最中にメディチ家当主のロレンツォ・イル・マニーフィコと弟ジュリアーノを殺害するもの。結局、ジュリアーノ殺害は達成したもののロレンツォは聖具室に逃れて作戦は失敗し、パッツィ家の人々は市民の前で処刑されました。そして今回の新資料とはこの方、アントニオ・マッフェイ。ロレンツォ殺害を依頼され、見事に?失敗した張本人です。

ロレンツォ殺害失敗の直後、マッフェイは混乱の中で逃亡に成功しますが、バディア・フィオレンティーナ教会に隠れていたところを5月3日に逮捕され、パッツィ家と同じようにヴェッキオ宮殿で処刑されます。今回見つかった資料は、逮捕から処刑までの長い長い事情聴取。それをマッフェイに扮した俳優さん?が読み上げつつ、ところどころに資料を発見した歴史家のマルチェッロ・シモネッタさんが解説をしてくれました。

私はパッツィ家の陰謀の概要は知っていたし、メディチ家のドラマでも見ていたけれど、こうしてヴェッキオ宮殿で本物の資料の内容を聞くとまさにその時代にタイムスリップしたかのよう。そして参加者は老若男女合わせて30人くらいでしたが、皆さん目がキラキラ&質問タイムでも手を挙げていろんな質問をし、シモネッタ氏の返答にほぉぉ~とまた目が輝く・・・そんな中に混じることができて、私もなんだか歴史が大好きだった若かりし頃に戻ったようでした。

そして2つ目はこちら、ブランカッチ礼拝堂。
サンタ・マリア・デル・カルミネ教会の右翼廊にあるブランカッチ礼拝堂は、マゾリーニ、マザッチョ、フィリッピーノ・リッピによって1428年~1485年にかけて完成された「聖ペテロの生涯」によって彩られ、ルネサンスの先がけとなる画法や当時のフィレンツェの様子が垣間見られることで有名です。1990年に大がかりな修復によって鮮やかな色がよみがえりましたが、それから30年以上たった今、分析と必要があれば修復を行うための足場が設けられ、通常の見学は中止されています。しかし足場がある今だからこそ、今まで見上げていたフレスコ画を至近で見られる!という期間限定、生きているうちにもう機会はないかも?というのもあり、こちらも鼻息荒く申し込んできました。さすがに希望者が多くて私がフィレンツェに行ける日に予約をゲットするのが難しかったのですが、ブランカッチ礼拝堂のスタッフの方が親切で、希望日に残席わずかのところに滑り込むことができました。

まずはかつての食堂にてガイドさんによる作品の解説を聞いてから、TOP写真のように組まれた足場に上り、1フロアあたり15分くらい、思い存分に作品を鑑賞することができます。修復から30年以上経ったとはいえ、素人目には500年以上前に描かれた時そのままのような美しさで、筆跡なども追えるほど。まだまだ人間が無表情でリアル感がないマゾリーニのものから、マザッチョが描いた嘆き悲しむアダムとイブ、そして洗礼を待つ人の震えるさま、水に入った足の描写を比べたり、当時のフィレンツェの流行りの服や建築に妄想したり・・・いやはや、こちらも至福の時でございました。

これは夏までの予定らしいので、興味ある方はこちらのブランカッチ礼拝堂の公式ページへ。毎月18日に翌月までの予約を入れられるようになるので18日直後が予約のチャンスです。有料(大人は10ユーロ)ですが、私はフィレンツェ県在住の特権を生かしてフィレンツェカードを作り直して参加しました。

フィレンツェ圏に住む特権を謳歌する ~ Card del Fiorentino

日本から観光に来る方というよりも現地在住の方向けの情報になってしまいますが、またこのようなイベントがあれば紹介したいと思います。

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人口や景観など、「イタリアの最も美しい村」協会が設けた厳しい基準を満たした村だけが加盟を認められる「イタリアの最も美しい村」。その中から、イタリア在住20年以上、トスカーナ州の田舎町に暮らす著者が、“忘れられない”30の村をセレクト。古きよきものが息づく小さな村の魅力を、旅先での出会いやエピソードをちりばめながら綴る。

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