フィレンツェは昔から観光都市ですが、近年は更にそれが加速し、昔ながらの店や市民のための施設が年々減ってきています。そのうちの1つが、旧市街に唯一残っていた映画館・オデオン。閉鎖してから本屋を営むジュンティ社の手に渡り、その行く末が注目されていましたが・・・ジュンティ社はその歴史を完全に終わらせず、映画館・イベント・本屋・レストランを融合させた新しいスタイルで2023年11月「シネマ・ジュンティ・オデオン」としてオープンさせました!
建物は、ストロッツィ―ノ宮殿。1400年代半ばにブルネッレスキ(ギベルティ、ミケロッツォ説もあり)設計で建設された、ストロッツィ家の宮殿です。その後、ストロッツィ家が途絶えた後は何度も所有者が変わり、さらに区画整理で宮殿が縮小された後は所有者不在で放置されていましたが1904年にキエリ家に購入され、女優のエレオノーラ・ドゥーゼの助言により劇場として再計画されます。1919年にイタリア・アメリアの劇団にうつり、1922年にやっとオープンしたサヴォイア劇場がオデオン映画館の始まりでした。
当時フィレンツェで流行していたリバティ様式の内装やスクリーン、2階席はそのままに、桟敷席だけを撤去して本の販売空間に。スクリーンには期間ごとにテーマを決めた映像が絶えず流されています。もちろん本を探しながら見ることもできますが、ちょっと長く座ってみたい方はスクリーン前に残された座席で自由に見ることができます。
フィレンツェのリバティ様式建築についてはこちらをご覧ください。
イタリアのアール・ヌーヴォー、フィレンツェのリバティ様式建築探訪
もっと優雅に「時間つぶし」したい人はぜひ2階へ。入り口ホールから左右両脇にある重厚な階段で行くも良し、右側にある本棚をモチーフにしたエレベーターで行くも良し。正面と両脇の1列目は普通の席ですが、両脇の2列目はソファー席。更にかつてのボックス席?のエリアはなんとテーブル付き。カフェがあると聞いてこれらの席はカフェ席なのかと思いきや、ここも全て自由に使用することができます。なので、ここを発見してからの旧市街でお金を使わず座って休憩したいときはいつもここに(笑)。読書やワーキングスペースとしても使えます。
いっぽうカフェはといえば、入って右側、エレベーターの横にある「Cafe」の扉を開けて入ります。カフェというよりもカクテルが似合うバー風の内装で席は多くありませんが、カフェに入ってカウンター前、右側からテラス席に行くこともできます(外から直接でも行けます)。朝8時30分からノンストップで0時まで開店しており、朝ごはんのバール、ブランチ、ランチ、カフェ、アぺリティーヴォ、ディナーと様々な使い方ができます。
私は初めてアぺリティーヴォ(食事前の軽飲み)に行きました。ドリンクと一緒にオリーブとポテトチップスがついてきますが、少し食べたい方はおつまみも頼めます。品数は少ないですが、おかずになりそうなものばかり。メニュー見て「カラージェ??」とイタリア語読みして意味不明だったKARAAGE di polloは読んでそのまま鶏の「唐揚げ」で、添えられていた大根おろし?柚ぽんも美味しく、結構しっかり日本の鶏唐でした(笑)。しっかり食べたい方は、19時~のディナータイムを待ちましょう。
場所はレプッブリカ広場とトルナヴォ―ニ通り近く、ストロッツィ広場の一角と旧市街のど真ん中ですので、休憩のついでにこの空間を見るだけでも立ち寄ってみてください!
ギャラリー(クリックすると拡大します)
基本情報
Giunti Odeon
Piazza degli Strozzi
+39-055-214068
【営業時間】
本屋は 9:30-0:00(イベントプログラムはコチラ)
レストランは 8:30-0:00(カフェオデオンのサイトはコチラ)
映画館は 21:00-0:00(上映プログラムやチケット購入はコチラ)
愛すべき、美しい30の村
飾らない、ありのままのイタリアへ!人口や景観など、「イタリアの最も美しい村」協会が設けた厳しい基準を満たした村だけが加盟を認められる「イタリアの最も美しい村」。その中から、イタリア在住20年以上、トスカーナ州の田舎町に暮らす著者が、“忘れられない”30の村をセレクト。古きよきものが息づく小さな村の魅力を、旅先での出会いやエピソードをちりばめながら綴る。
本の詳細はこちら
「フィレンツェから日帰りで行ける!トスカーナの小さな村10選」
「トスカーナのおうちごはん春夏編20レシピ」
「コロナ・ロックダウン緩和直後のイタリア・フィレンツェ記録写真集(モノクロ版)」
「コロナ・ロックダウン緩和直後のイタリア・フィレンツェ記録写真集(カラー版)」
「トスカーナのおうちごはん秋冬編20レシピ」
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