トスカーナ南部・アミアータ山の中心的な町、アッバディア・サン・サルヴァトーレ。この町で、およそ1000年前から伝わる、町で一番のイベントがクリスマス・イブに行われる フィアッコレ です。フィアッコレは直訳すると松明ですが、アッバディアでは、薪を積んで組まれた櫓のことをフィアッコレと言います。今もアッバディアに残るサン・サルヴァトーレ修道院が建てられた1000年ほど前から、ここを訪れる巡礼者を温めるために火を灯したのが、このイベントの起源となっています。それからイブの晩、0時のミサを待っている間にも火が灯され、その習慣が今のような形となって受け継がれています。
櫓が組み立てられるのは、クリスマス・シーズンの幕開けでもある12月8日の「無原罪の御宿り」の祝日から。各区の男性たちがその前から集めた櫓に合う薪を、下から積み上げていきます。
火を点ける櫓以外にも、フィアッコリーナという小さな櫓にオーナメントがつけられ、旧市街の門や教会の前などに飾られます。それからイルミネーションも点灯し、日に日に薪が積み上げられ準備が進むにつれ、イブのイベントへと町全体が盛り上がっていくのが感じられます。
写真提供:Proloco di Abbadia San Salvatore
24日当日は、18時に市役所前にてフィアッコレの点火式が行われます。町中の人が集まり、ブラスバンドとともにクリスマスの歌が歌われる中、祝福を受けた聖なる火が点火され、そこから町中のフィアッコレに火が灯されていきます。
市役所前には大きなクリスマスツリーも立っていますよ。ここはまだ城壁外なので、ここからメインストリートを歩き、城壁の中の旧市街のお散歩へ行って見ましょう。 旧市街の中にもいたるところにフィアッコレが待ち受けています。
散歩での楽しみは家先や屋台でふるまわれる(喜捨がほとんど) お菓子とホットワイン! ただただ、おやつをつまんでホットワイン飲みながら、家族と友人たちと練り歩くだけなんですが、皆、それを楽しんでやってます。
いつ来ても可愛らしく、心をくすぐる旧市街ですが、イルミネーションで照らされた夜に来ると、ますます童話の世界に紛れ込んだよう。
そして散策中、人が集まって覗いている所は・・・
そう、散策中のもう1つお楽しみは、お店の片隅や公共スペースに飾られたプレゼーぺというキリスト誕生のシーンをミニチュアで再現するもの。この日はまだ24日の晩のため、キリストは誕生していません。電気仕掛けだったり、ふんだんに自然のコケや枝をつかったもの、それぞれ凝っているポイントがあり、それを見つけるのがまた楽しいんです。
ほとんどが地元民なので、皆友人に会うたびに “アウグーリ!(おめでとう!)”、“ブォネフェステ!(良い祝日を!)” と挨拶したり、ハグしたり。そういうシーンに会うたび、心もほっこり暖まります。
そして23時半頃には、ミサのためにこの修道院に人が集まってきます。
ギャラリー(写真をクリックすると拡大します)
基本情報
【公式サイト】
Citta’ delle Fiaccole
【開催日時】
12月24日、18時半~
【場所と行き方】
Abbadia San Salvatore の旧市街とその周辺にフィアッコレと屋台がでます。18時に市役所前で点灯式が行われ、その時か、ミサ(23時半頃より開始)に近づけば近づくほど賑わいます。行き方については、こちらをご覧ください。
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