トスアーナ、いやイタリア屈指の観光地、世界遺産の塔の町としてあまりにも有名なサン・ジミニャーノ。城壁に囲まれた小さな旧市街には、なんと塔が14本も・・・いやいや、中世の最盛期にはなんと72本!フランチジェーナ街が通る町として、またピサとシエナの間の要所として、そしてサフランなどの生産品で栄えたこの町では、富と権力の象徴として、住居を兼ねて競うように塔を建てたのです。今の14本でも多く感じるのに、その5倍の塔が建っていたわけですから、相当なインパクトだったでしょう。
130番のバスの到着、またハイヤーでも停車しやすいのが旧市街南側にあるモンテマッジョ広場(133番のバスは北側のサン・マッテオ門に到着)。そこからサン・ジョヴァンニ門をくぐり、メインストリートをまっすぐ行きましょう。人気観光地なので、メインストリートにはたくさんのお店、地元のDOCGワイン・ヴェルナッチャのワイナリーやエノテカ、レストランが並んでいます。そしてちょうど旧市街の真ん中あたりで、グロッサ塔と絵画館のあるポデスタ宮(現・市役所)と、ドゥオモがある広場に出ます。まずは、サンジミニャーノのシンボルである塔へ!
以前は広場から階段を上がって入場でしたが、2017年に行った時は裏手から中庭を抜け、中庭から階段を上って入場でした。フレスコ画、家紋などで埋め尽くされた壁面も圧巻で、中世にタイムスリップしたような気持ちになります。階段の上にチケット売り場がありますが、以前は絵画館&塔だけだったチケットは、現在は考古学博物館、中世の薬局、近代美術館、サン・ロレンツォ・イン・ポンテ教会も同じチケットで入れるようになっていました。これだけ入って、大人9ユーロ、2日間有効なので、時間のある方は周ってみて下さいね(詳しくはサン・ジミニャーノ市立博物館サイトへ)
まずは塔に上ってみましょう。1300年に建設が開始され、1304年に完成した塔は54m。トッレ・グロッサ(大きな塔)という名の通り、現存する塔の中では一番高い塔になります。そこから見ると町の輪郭や作りも良く分かりますね。
左に見えるのは、ツインタワーと呼ばれるサルヴッチ塔と、ロニョーザ塔。奥に見えるトスカーナならではの田園風景も格別です。
塔からのパノラマを堪能したら、休憩がてら2~3階の絵画館を鑑賞しましょう。
絵画館はいくつかの間に分かれいますが、圧巻は議会の間。1200年代後半~1300年初頭に描かれたフレスコ画で埋め尽くされています~写真はシエナ派リッポ・メンミの「荘厳の聖母」で、師事していたシモーネ・マルティーニの同名の作品によく似ています(シエナ・市立博物館蔵)。また、1299年にフィレンツェのグエルファ派大使として滞在したダンテにちなみ、ダンテの間とも呼ばれています。絵画館は、1200年~1400年代のシエナ派・フィレンツェ派の作品が並んでおり、フィリッポ・リッピの作品もありますよ。
絵画館を後にしたら、続いてドゥオモの中に入ってみましょう。市立博物館共通チケットとは別料金になりますが、ぜひ入って頂きたい・・・外観はいたって地味ですが、内部は息をのむほどの素晴らしいフレスコ画であふれています。
薄暗い内部に浮かび上がるフレスコ画は、なんと1300年代のもの。しかも、一度も修復がされいていないので、すべてがオリジナルのままで残ってるんです(1999年に映画撮影使用にしたお礼として、埃払いが行われただけ)!見て分かるように、窓がほとんどなく光による退化が最少であるからとされています。描かれているのは、右壁面は旧約聖書、左の壁面には新約聖書。
見逃してはいけないのが、右奥にある礼拝堂。サン・ジミニャーノの保護聖人である聖女・フィ―ナに捧げられた礼拝堂です。正面はシエナの彫刻家、ベネデット・ダ・マイアーノの祭壇が、左右の壁面にはギルランダイオの「聖女フィーナの死のお告げ」と「聖女フィーナの葬儀」が描かれています。この作品が描かれたのは1475年ですが、後者では当時のサン・ジミニャーノも描かれていて、本当に塔がたくさんあったことがよく分かります。
ドゥオモ広場のすぐ先には、もう1つの中心的な広場・チステルナ広場が。名前の通り古い井戸があり、さらにコンテストで多くの賞を受賞した「世界一のジェラテリア」・ドンドリが・・・いつ行っても列ができるほど有名ですが、運が良ければジェラート職人のセルジョさんと会うことができますよ。個人的なおススメはフルーツフレーバー、そしてサン・ジミニャーノならではのヴェルナッチャ(地元名産のDOCG白ワイン)です。
時間のある方は、ドゥオモから右手に行ったロッカ公園へも。ロッカ=要塞で、かつてのロンゴバルド族の城跡に、1300年代のフィレンツェ支配下の際に建設された要塞です。今ではオリーブの木や糸杉の並ぶ公園となっており、残った堡塁上からは塔が立ち並ぶ街の様子も見ることができます。
世界遺産であり、見所もたっぷり、そして散策も楽しいサン・ジミニャーノ。少なくとも半日、できれば1日ゆっくりと滞在しても良いですね。フィレンツェからもバスで行けますが乗り換えがあるので、乗り換え心配な方はシエナ滞在中にシエナ発着で行かれると良いと思います。フィレンツェからはシエナと合わせて1日でも行けますが、シエナも見所たっぷりなの盛り沢山すぎ・・・という方は、コッレ・ヴァル・デルザやチェルタルドと組み合わせると良いと思います。
ギャラリー(クリックすると拡大します)
基本情報
Pro loco San Gimignano(サン・ジミニャーノ観光協会)
【行き方】
フィレンツェ・バスターミナルからバス131番でPoggibonsiまで行き、130番バスまたは133番バスで合計約1時間半。シエナからは130番で直通約1時間15分。フィレンツェ⇔シエナの移動途中にも寄ることもできます。鉄道利用の方は、ポッジボンシ駅から130番または133番で。
バス131番の時刻表や路線図はこちら
バス130番の時刻表や路線図はこちら
バス133番の時刻表や路線図はこちら
「Download line timetable and map」をクリックすると時刻表がダウンロードできます。
バスの乗り方などについてはこちらを参照ください。
フィレンツェからは、コッレ・ヴァル・デルザやシエナと合わせて1日日帰りで行けます(ただし、シエナは見所多いので駆け足ですが)。バスで自力で行くのが難しい場合、通訳アテンド付きプランや、ハイヤーをご利用ください。
愛すべき、美しい30の村
飾らない、ありのままのイタリアへ!人口や景観など、「イタリアの最も美しい村」協会が設けた厳しい基準を満たした村だけが加盟を認められる「イタリアの最も美しい村」。その中から、イタリア在住20年以上、トスカーナ州の田舎町に暮らす著者が、“忘れられない”30の村をセレクト。古きよきものが息づく小さな村の魅力を、旅先での出会いやエピソードをちりばめながら綴る。
本の詳細はこちら
「フィレンツェから日帰りで行ける!トスカーナの小さな村10選」
「トスカーナのおうちごはん春夏編20レシピ」
「コロナ・ロックダウン緩和直後のイタリア・フィレンツェ記録写真集(モノクロ版)」
「コロナ・ロックダウン緩和直後のイタリア・フィレンツェ記録写真集(カラー版)」
「トスカーナのおうちごはん秋冬編20レシピ」
いずれも読み放題に入っています!