トスカーナ南西部のマレンマ地方 はまだ日本では馴染みがないですが、美しい海や国立公園、エトルリア文化が残る魅力たっぷりのエリア。その中でも、山エリアでおそらく一番大きいのがこのピティリアーノ。そしてただ大きいだけではなく、その姿からは予想を遥かに超えた圧倒的な力強さを感じることができます。
ピティリアーノは、ソヴァーナ、ソラーノと合わせて凝灰岩の町と呼ばれています。火山活動から形成された凝灰岩が残るこの地域で、ピティアーノはひときわ巨大な凝灰岩の上に立てられた町ですが、その歴史は古く、紀元前の青銅器時代から人々が居住し始めました。エトルリア時代、ローマ時代を通じて岩壁に住居や保存庫としての穴が多数掘られ、それは今でも、周辺の岩壁に見ることができます。現在のような旧市街の骨格は、ピティリアーノという名前が「要塞化された村」として記録に残る1100年頃までに出来上がりました。
バスで来た場合は、この橋を超えたあたりにバス停があります。車で来る方もこの橋を超えたあたりか、ここに到着する前の高台に車を停めましょう。車を高台に停めた方は、この橋を渡って村の中に入ることもできます。門をくぐって階段を下りると市役所のあるガリバルディ広場に出ます。
一方、上の写真の左の建物の前がフランチェスコ・ペトルッチョーリ広場になっており、バールやレストランが並びます。紋章のある大きな門を入ると、橋を渡った場合と同じく、そこは市役所のあるガリバルディ広場。そこから城壁沿いのアーチが並ぶ道を左折、まっすぐ行くと左右に大きな広場、フォルテッツァ・オルシーニ広場にでます。広場の名前にもなっているオルシーニ家は中世にここを治めた一族で、現在もルネサンス時代のヴィラが残っており、現在は博物館になっています。
一方その反対側には立派なメディチ家の水道橋 が。もともとは1500年代にオルシーニ家統治下において水道設備を向上させるために着工されましたが、特殊な町の立地条件から工事は長引き、完成は町の統治がメディチ家に移った1639年でした。
そこから道が2つに分かれますが、広場を背に左側のズッカレッリ通りを行くと、左側にユダヤ人地区が。ピティリアーノには1600年代にヘブライ人のコミュニティができ、1800年代には衰退していきますが、その規模と残された建造物から“小さなエルサレム” とも呼ばれています。現在はシナゴーグやユダヤ人居住区が一般公開されており、当時のユダヤ人の生活が感じ取れるようになっています。
ユダヤ料理とマレンマ料理が融合した「Goym」コースはこちらのレストランで賞味できますよ。
その先、オルシーニ広場を背に右側の道と合流した角にあるのが、サンタ・マリアとサン・ロッコ教会。この教会が建てられたのは、意外に近年・1800年代のちょうど町の発展の時期で、1200年代に建てられたサンミケーレ教会が狭く古いために、それらの役割を受け継ぐ形で建てられたそうです。
そこからさらに西へ進むと、町の端っこに到達。下に降りる階段を少し下ってみると、 凝灰岩の上にそびえたつ町ならでは?岩を掘って作ったこんなガレージがあります。こんなガレージは、帰りに車で通った村の裾野にも多く見られますが、かつての居住間を再活用しているそう。テラスみたいになっている場所から覗くと、まさに岩の上に家がそのまんま建てられてることが分かります。窓の外はすぐに絶壁・・・まさに天空の城ような感じですね。
帰りはもう1つ別の道へ行くと、右側にドゥオモが現れ、さらに進むとオルシーニ広場に戻ってきます。これで旧市街をおおよそ一周したことになありますが、この2つの通りだけでなく、村の中に60もあるという路地にも気ままに入ってみてください。村の北側や西側は特に観光客も少なく、おばあちゃんが家の前で編み物をしていたり、ご近所さんがイスを出しておしゃべりしていたり、独特の村の中に今も息づく日々の暮らしが垣間見えます。
時間のある方は、門に入る前のフランチェスコ・ペトルッチョーリ広場から階段を降り、ピティリアーノが建つ凝灰岩の真下、南側をぐるりと囲む「パノラマ通り」も散歩してみましょう。下から見上げる村はまた迫力満点!
ピティリアーノの全景は、2つのパノラマポイントがあります。
- TOP写真の撮影場所:橋から出た場合は右折してまっすぐ、下のフランチェスコ・ペトルッチョーリ広場からの場合は前に見える坂を右に上った先、サン・ミケーレ通りがテラスのようになっています。グーグルマップにも示されていますし、とても分かりやすい。
- 写真下、こちらは車で来る方向け:村を出てSP74(国道74号線)を西に数分ほどいったマドンナ・デッレ・グラツィエ教会前。TOP写真のような斜めからの角度でなく、真正面に水平に広がるピティリアーノを見ることができます。
村の中はもちろん、下から横から正面から、あらゆる角度でお楽しみください!
宿泊について
私は過去2回、ピティリアーノに宿泊していますが、2回ともAirbnbで予約しました。いずれも清潔で旧市街内または外でも徒歩圏内、レビューは中よりも上であれば安いものを探します。1つ目はもう貸し出しをやめてしまったようですが、2つ目はこちら、マリア・グラツィアさんのアパートです。日本語ページだと「貧民街の中心」と出てしまいすが(苦笑)、旧ユダヤ人街の中心という意味で、危ない地区という意味ではありません。逆に上に紹介したレストランやタイヤリサイクル店の至近、小さなエルサレムも近くて、とても便利な場所。
入ってすぐに広いダイニングキッチンがあり自炊も可能なので、住んでいるように滞在ができます。いまAirbnbでは2段ベッドだけで2人までしか宿泊できないようになっていますが、私が宿泊した時(2022年5月)では、写真上のダブルベッドの寝室を使わせてもらい、2段ベッドの別の寝室を使えば4人まで宿泊は可能でした(興味のある方は直接問い合わせてみて下さい)。
とても親切で英語もOKな彼女ですが、チェックインの時間を事前に決めたりなど、簡単な英語ができて旅慣れた人しか難しいのがAirbnbの難しい所です。そうなるとやはり、Booking.com などのプラットホームで普通の宿泊施設を探したほうが良いかもしれません。
ギャラリー(写真をクリックすると拡大します)
基本情報
【観光協会】
Pro-Loco Pitigliano
【行き方】
最寄り鉄道駅はアルビニア(フィンツェからピサやグロッセートなどで乗り換えして3時間、ローマからは直通で約2時間)。アルビニアよりピティリアーノまでバス41P番で約1時間、一部グロッセート発着の場合は約1時間20分。
バス41P番の時刻表や路線図はこちら
「Download line timetable and map」をクリックすると時刻表がダウンロードできます。
電車の乗り方などについては
バスの乗り方などについては
ソヴァーナ、ソラーノの他の凝灰岩の町、または天然温泉のサトゥルニアなどにも行きたい方は、ハイヤーで巡るのがおススメです。ハイヤーについては、 こちら を参照ください。
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「コロナ・ロックダウン緩和直後のイタリア・フィレンツェ記録写真集(モノクロ版)」
「コロナ・ロックダウン緩和直後のイタリア・フィレンツェ記録写真集(カラー版)」
「トスカーナのおうちごはん秋冬編20レシピ」
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