先日も紹介したサンティ・ミケーレ・エ・ガエターノ教会に続く、ガイドにないフィレンツェの教会シリーズ第二弾、今回はサン・フレディアーノ教会です。サン・フレディアーノはアルノ川向こう側・西側の下町地区の名前で、まさにこの地区の住民の教会、といったところ。ブランカッチ礼拝堂で有名なカルミネ教会へは行った方はいると思いますが、そこからほんのすぐ歩いたところにあります。ただし、TOP写真のような川沿いに見える全景は、みなさん見覚えがあるのではないでしょうか?
目の前までくると、遠くから見て想像していたよりも大きい印象です。建設は1450年頃、この地区で最も古かったサンタ・マリア・デッリ・アンジェリ教会があったところに建てられました。カルメロ会則に沿い修道女のために建てられた教会で、聖女マリア・マッダレーナ・ディ・パッツィ(パッツィ家はフィレンツェの有力貴族で、反メディチのパッツィの陰謀でも有名)が生涯過ごしたことでも知られています。1628年~はカルメロ会とシトー会が教会を「交換」し、シトー会派の修道院になりました。
その後、修道院全体、特に教会部分を再建する必要に迫られ、1680年にはクーポラが完成。外観は未完成ですが、3身廊のバロック建築になります。内部には「マッダレーナの功績と徳の場面」が描かれています。1783年には修道院付き教区教会の役割を担い、また同時に大司教の神学校となったおかげで、中世の写本や法規集を所蔵する図書館でも有名です。1798年には今の名前となりますが神学校はそのまま残り、一時は戦争で閉鎖されたものの、神学校部分は拡張されて今も聖職者を目指す若者が通っています。
特に有名な芸術作品はありませんが、印象に残ったのはこの「微笑みの天使」。13世紀~14世紀の間に作られた木製の彫刻で、当時の民衆から厚い信仰を受けていたものだそうです。これだけ古い作品ながらドレープなども美しく、何よりも優しい微笑みのマリアに癒されます。
こちらの記事にも書きましたが、
この界隈は観光客もほとんどいない、フィレンツェの下町を感じられるエリアです。サント・スピリトやカルミネ(ブランカッチ礼拝堂)に来られたら、少しこのエリアにも足を伸ばしてみてくださいね。
ギャラリー(クリックすると拡大します)
基本情報
Chiesa di San Frediano in Castello
Via di Cestello, 4
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