カラヴァッジョの最期を迎えた美しい村、ポルト・エルコレ

モンテ・アルジェンタリオとは、ラツィオ州との州境からほど近いオルベテッロの細長い町+道2本で繋がれた半島の名前で、1つの市となっています。そのうち南側にある町がこのポルト・エルコレ。北側にあるポルト・サント・ステファノからは、トスカーナ群島第二の島、ジリオ島へゆくフェリーが航行しています。

モンテ・アルジェンタリオのシックな港町、ポルト・サント・ステファノ

トスカーナ群島第二の島、ジリオ島

そして南側にあるのが、このポルト・エルコレ。2つの町の名前に共通している「ポルト」は港、つまり港町。ジリオ島行きのフェリーが出ているポルト・サントステファノに対し、ポルト・エルコレはどこかの島へ行くフェリーなどはなく、漁師さんやヨットなどの港のようです。実際、町がつくられた時から今も、漁業が盛んな町。小さな湾に沿って歩いてみると、たくさんの漁船や漁師さんに出会うことができます。

「イタリアの最も美しい村」となっている旧市街は、湾を囲む南側の丘の上。バスで来る方は終点である旧市街の門前にあるバス停で下り、旧市街を観光から海沿いを散策し、帰りは新市街からバスに乗ることをおススメします。というのも、距離的には近いものの、結構な上り坂!

ポルト・エルコレの名を有名にしたのは、16~17世紀にかけて活躍した画家のカラヴァッジョ。陰影を巧みに表現し聖なるシーンをドラマチックに描いた画家ですが、その革新的な絵画とともにその破天荒な性格とドラマのような人生でも知られています。ミラノで生まれ、主にローマとナポリで活動したカラヴァッジョですが、なぜトスカーナのポルト・エルコレに・・・博打や暴力事件をたびたび起こし、最後には殺人犯となりローマから逃げ出してマルタ島で創作活動をしながら恩赦を待っていたのですが、念願のローマ帰還の最中に寄ったこのポルト・エルコレで最期を迎えたのは1610年のことでした。

旧市街は、彼の名前のついた観光ルートが示されているので、それに従って散策すると良いでしょう。

旧市街の門を入ってすぐに出てくるのがカラヴァッジョ散策ルートの看板。左がロングバージョン、右がショートバージョンですが、ロングバージョンを歩いても1時間もかかりません。

ルートを直進すると1500年代半ば建設のスペイン総督の館から大きな広場に出ます。ここは湾に沿って発展したポルト・エルコレの風景が収められる写真スポット。広場を取り囲む家々も可愛らしいです。

ルートは海と反対側にある階段へ続き、そこからは民家が密集する路地を歩きます。旧市街の高台上へ上へと足を進めると、木々に覆われなた城壁にぶつかります。この先にはポルト・エルコレに3つあるうちの1つ、スペイン人要塞がありますが、現在は私有の建物となっているので見学は外からのみ。しかし、かつて海沿いの要所であったこの地の防衛の要であった要塞は、今でも強固で人を寄せ付けない威圧感を誇っています。

写真は散策ルートから見た要塞ですが、旧市街の裏側を車道で行くと別角度から要塞と海のパノラマも見られるようなので、車でお越しの方はここまで車で上がってくるのも良いかと思います。ちなみに残りの要塞は、湾の逆側の高みにあるフィリッポ要塞と、スペイン人の要塞から南西にあるステッラ要塞。いずれもかつてのポルト・エルコレの重要性を示す大きな要塞ですが、一般公開されているのはステッラ要塞のみ。営業期間は5月~9月で時間も限られており、また車でしか行けないために私も叶わず残念無念!ステッラ要塞の営業日時についてはこちらを参照ください。

スペイン人の要塞から城壁に沿って旧市街へ戻っていくと、右側に現れるのがサンタ・クローチェ信心会の建物。かつてそこは病院として機能しており、病と傷で瀕死であったカラヴァッジョが息を引き取った場所とされています。扉は閉じたままで中も見学することはできませんが、400年前にローマでの恩赦を切望していたカラヴァッジョの姿を想像すると、胸が痛みます。

旧市街の散策はこれでおしまい。あとは海沿におり、海の美しい景観を見ながら新市街へ向かいましょう。海沿いにはレストランやホテルが並び、ちょっとしたリゾートムードに包まれています。

以前に紹介したレストランは、海沿いから少し入った奥にありますので、食事場所にお悩みの方はこちらでどうぞ。

ポルト・エルコレの魚料理店「Alicina Hosteria」

一般的な説やドラマなどでは、カラヴァッジョはこのポルト・エルコレの砂浜で行き途絶えたとされていることが多いです。2008年にイタリア国営放送RAI1で前後編に分かれたドラマが放映され、後に日本でも1本の映画として公開&DVD化されたカラヴァッジョ/天才画家の光と影でも。実は2007年、カラヴァッジョの取材のために日経新聞・文化部記者さんの通訳として、ともにローマ・ナポリのカラヴァッジョの作品を巡るという仕事があったのですが、この時に取材を行ったのが歴史的観点からこのドラマをサポートした、カラヴァッジョ専門家の方の自宅でもインタビューを行いました。忘れもしないナヴォ―ナ広場至近にあるアパートでの長時間インタビュー(というか、その方がめちゃくちゃおしゃべりだった)、そして最後には、彼が所蔵するカラヴァッジョの本物の作品!というお宝まで登場!・・・そんなわけで、私にとってカラヴァッジョは特別な芸術家になったこともあり、ポルト・エルコレ訪問もなんとなく感慨深いものがあったのでした。

ギャラリー(クリックすると拡大します)
基本情報

【観光協会】
Pro loco Monte Argentario

【行き方】
フィレンツェからピサ乗り換えでオルベテッローモンテ・アルジェンタリオ駅まで3時間半、ローマ・テルミニ駅から直通で約1時間50分。電車の乗り方などは こちら を参照してください。オルベテッローモンテ・アルジェンタリオ駅からはAutolinee Toscane社のバスLINEA0o2番が(イタリアにしては)頻繁に走っており、直通・終点で約20分。電車の乗り方は こちら 、バスの乗り方は こちら を参照下さい。

※時刻表検索はTrip Plannerを使うか(ただしイタリア語のみ、むこう5日間のみしか検索できません)、サイトの時刻表ページより Servizi Extraurbani 、続いてServizi Extraurbani GRをクリックし、Oo2番の右端にある↓マークを押して時刻表をダウンロードしてください。

他のマレンマの村などとハイヤーで周るのもおススメです。ハイヤーについては こちら をご覧ください。

 

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