フィレンツェ北部・サンターガタ、古き良き時代を懐かしむ

フィレンツェ北部のムジェッロ地方は、日本ではまだなかなか知られていないエリア。おそらく、一番有名なのはマッラーディの栗祭りか、伝統産業の刃物・モーターサーキットで有名なスカルぺリアでしょう。

フィレンツェ北部「スカルぺリア」、ナイフとモータースポーツで有名な「イタリアの美しい村」

おらが村からも近いので、このサイトでもいろいろと紹介していますが(記事一覧)、今回は、前述のスカルぺリアの分離集落・サンターガタを紹介します。スカルぺリアはバスで10分もかからない近さですが、自然の真っただ中を抜け、住宅がぽつりぽつりあるバス停で下車。直進すると中心街が見えてきます。

着いてすぐの広場を左斜めに行くと、教会の鐘楼が見えます。教会の正面へは、この鐘楼を左に曲がりましょう。教会は12世紀(洗礼盤の囲いには1175年の表記あり)の建設で、それまでにあった小さな教会を拡張したもの。ムジェッロ地方を代表するロマネスク様式の教会です。鐘楼は1542年の地震で大きな被害を受け、現在に残るのは元々の鐘楼よりもかなり低くなっているそうです。

中は3身廊ですが、左右3本づつの柱があるだけで、全体的にとても広い印象です。16世紀以降の美術作品が多いですが、やはり印象に残るのは、こちら。

入ってすぐ左にある、洗礼盤です。7つのパネルからなる仕切り12世紀のもので、大理石に精巧な彫刻が施されています。一方、八角形の洗礼盤は1513年のもの。右壁にちょこん、と佇むようにいる聖マタイの彫刻が何とも言えない味わいです。教会は毎日開いていますが、時間は9時~12時・15時~17時になります。

また教会の右横には「聖芸術博物館」と「遺跡資料館」がありますが、開館は週末だけ。

もう1つの博物館・レプリーノ博物館は、村の北の端。こちらは、この村出身のファレーリオ・レープリさんが趣味で作ったジオラマの博物館があります。私個人的には、これが一番見てみたい・・・なんといってもファレーリオさん=あだ名はレプリーノさんがとっても可愛い!

レプリーノさんは、1921年サンターガタ生まれ。一時はお父さんと一緒にフィレンツェで働ていましたが、お父さんの死後はサンターガタに戻り、食材店を営んでいました。あるクリスマスにはじめて、趣味の紙張り子の人形をウィンドーに飾ったのが始まり。昔からモノ作りが好きだったレプリーノさんは、空き時間にせっせと作品を作り出し、ついにはそれを知ったスカルぺリア市から展示会の声がかかり、TVにも出演し、最終的にはいつまでも保存し継承できるよう、サンターガタの博物館になったのです。作り出す作品は1920年代のサンターガタ。街並み、職人、お店など、ある洋服仕立て屋さんの奥さんは、レプリーノさんが作った彼の人形がそっくりすぎて、墓参りには行かずにここに夫詣でに来るのだとか・・・こちらも週末だけの開館になりますが、いつか必ず訪問したいです。

そして、観光的なものではないのですが・・・

フィレンツェ北部の「水車小屋で粉ひき」~古き良き伝統を途絶えさえない人たち

友人のChihoさんが会長のアソシエーションが、粉を挽きの古い水車を復活させました。アソシエーションの活動資金として、ご希望の方には見学と、上階は宿泊もできるようになっています。興味ある方は、Chihoさんまで直接、またおらが村から行く方、その逆の方は私の方でまとめてオーガナイズもできます。

他にすんごい見どころというのはないですが(週末か開いてないところも多いし)、村のあちらこちらに散策マップとかつての写真が貼ってあり、地元民がいかにこの集落を愛しているのがよく分かります。

一度、バスのストライキにあってダンナが車で迎えに来るまでバールで時間をつぶしてたのですが、こんな小さな村なのに、わらわらと人が集まってきてアぺリティーヴォしたり、立ち話していたり、活気がありました。ちょっと昔の古き良き時代にタイムスリップした気分に浸れますよ。

ギャラリー(クリックすると拡大します)
基本情報

Proloco Scarperia(スカルぺリア地域プロモーション協会、サンターガタ該当ページ)

【行き方】
フィレンツェのバスターミナルより、BUSITALIA社のバス302番で直通約1時間10分。時刻表はこちら、バスの乗り方など詳細はこちらを参照ください。フィレンツェから直通バスは本数少ないですが、フィレンツェSMN駅から直通電車で30分のサン・ピエーロ・ア・シエーヴェ駅からは比較的多くバスが出ています。電車の乗り方など詳細はこちらバスの時刻表はこちらを参照ください。この町では有名な洗礼盤を見たり、美味しいバーガーを食べたり?また、スカルぺリアにも立ち寄ると1日ワンディ・トリップの完成です。

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